新型コロナウイルス感染が世界中で拡大。日本においても全国に緊急事態宣言が発令され、多くの方々がテレワーク、自宅待機や外出自粛などの行動制限を余儀なくされています。
このような状況が続いていることで、身体面、精神面において多くの負担が生じていることと思います。
新型コロナウイルス感染症にかかった場合に重症化するリスクとして、心疾患や呼吸器疾患に加えて、糖尿病もその一つである可能性があると考えられています。
今回は、米国糖尿病学会(ADA)、世界糖尿病連合(IDF)、英国糖尿病学会(Diabetes UK)、日本糖尿病学会などが公開している糖尿病患者さん向けアドバイスをもとに、糖尿病患者さんが注意すべきポイントについてまとめてみました。
糖尿病があると感染症にかかりやすい
糖尿病は、血液中にブドウ糖が多い高血糖の状態が続き、全身の血管が傷ついていく病気です。
糖尿病で高血糖の状態が続くと、白血球の働きが低下してしまうことが分かっています。
白血球は、ウイルスや細菌などを攻撃し、感染症から私たちの体を守る免疫の働きを担っています。
そのため、糖尿病(特にコントロールが悪く高血糖の状態)があると、新型コロナウイルスを含めたさまざまな感染症にかかりやすくなるのです。
新型コロナウイルスに感染した場合は、健康な人に比べて重症化しやすいことがこれまでの報告でわかってきています。特に、高齢の方、糖尿病の合併症がある方、血糖コントロールが不良な方などは、十分な注意が必要です。
また、これは新型コロナウイルス感染症に限った話ではありませんが、糖尿病の方が感染症にかかると、血糖値がさらに高くなるという悪循環に陥り、糖尿病そのものの治療も難しくなってしまいます。
血糖コントロールが良好ならリスクは健常者と同等
新型コロナウイルス感染症は、まだ十分なデータがないものの、米国糖尿病学会(ADA)の見解では、糖尿病があっても血糖コントロールが良好であれば、新型コロナウイルス感染症による危険性は、糖尿病でない人と同等とである、しています。
シックデイには特に注意が必要
糖尿病の方が体調を崩し、発熱や下痢・おう吐、食欲不振などが起こっているときのことを「シックデイ」(体調の悪い日)といいます。
シックデイでは、ふだんと違い、血糖値が著しく上がることがあります。1型糖尿病の方や、インスリンで治療している方は、特に注意が必要です。
また、体調が悪いことで食事ができずに低血糖になる可能性もあり、血糖値の確認が大切です。
シックデイの対策
■医療機関へ連絡をするか、受診をしたほうがよい状態
いつシックデイになるかわかりせんので、こうしたシックデイ対策(シックデイルールといいます)は、事前にかかりつけの医師と相談しておくといいでしょう。
運動不足と間食の取りすぎに注意
外出を控え、「Stay Home」していると、いつもよりも運動不足になりがちです。
などで運動不足にならないよう注意しましょう。
また、自宅にいる時間が長くなるとどうしても間食もふえてしまいがちですので、間食はとるとしても時間を決め、糖質量の多くないものにするなど工夫するとよいでしょう。
ふだんから感染症対策をとることが重要
糖尿病があるからといって特別な感染対策があるわけではありません。
一般にいわれているように
が重要です。
いつもと違う生活になっても
糖尿病の方は、新型コロナウイルスに感染すると重症化しやすいことがわかってきました。
特に高齢者、合併症が進行している方、血糖コントロールが不良な方は、感染しないよう十分注意しましょう。
ふだんと違った生活となりストレスが増えることも多いですが、生活週間を乱さないよう心がけ、糖尿病の治療をこれまでどおり、しっかり続けていきましょう。
© 2020 Inui pediatrics and internal medicine clinic