痛風発作が夏に多い3つの原因、予防法は?|高崎市 乾小児科内科医院|アレルギー科・循環器内科(心臓血管内科)

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痛風発作が夏に多い3つの原因、予防法は?

2020.07.31

痛風発作が夏に多い3つの原因、予防法は?

 
 

「特にひねった覚えもないのに、突然足の親指が腫れあがって痛い」なんてことをきっかけに病院を受診し、痛風が見つかる方は少なくありません。

実は、痛風の発作は夏に多く、中でも夜中〜明け方に起こしやすいことが知られています。

今回は発作が起きやすくなる原因と予防法についてまとめていきたいと思います。

 

痛風とはなにか

痛風発作とは、血液中の尿酸が多いことで結晶化してできた尿酸結晶によって関節などに炎症を起こすことをいいます。

初めて痛風発作を起こすまでに一般的には5年以上、尿酸値が7mg/dlを超える高尿酸血症=「尿酸値は高いものの何も症状はない状態」であると言われています。

関節内に一定量の尿酸結晶が蓄積していれば、いつ発作を起こしてもおかしくありませんが、尿酸値の変動や物理的な刺激が発作を誘発するきっかけになると考えられています。

 

痛風発作は夏季、特に深夜に多い

痛風発作は1年を通して起こりますが、起こしやすい時期と起こしにくい時期があります。

痛風発作が夏に多い3つの原因、予防法は?

季節ごとに痛風発作の発生頻度をみてみると夏季に多いことがわかります。

痛風発作が夏に多い3つの原因、予防法は?

また、1日の中での痛風発作の起こしやすい時刻を比較すると夜間に多く、1日を0時から3等分した場合、0-8時の深夜帯を含む時間帯は日中の2.4倍も痛風発作を起こしていました。

また高温時には通常の気温に比べて40%ほど痛風発作が増える、という研究報告もあります。

 

痛風発作が夏季に多い3つの原因

夏季に痛風発作が起こりやすい原因としては、以下の3つが考えられます。

1. 大量に汗をかくことで脱水になり、血液中の尿酸値が上がる
2. アルコール(特にビール)の摂取量が増える
3. 清涼飲料水の摂取量が増える

 

1. 脱水による血液中の尿酸値上昇

夏の暑さで大量の汗をかき脱水傾向になると、腎臓での老廃物の濾過量が減少し、尿からの尿酸排泄も低下する結果、血液中の尿酸値が上昇します。

 

2. アルコール(特にビール)による血液中の尿酸値上昇

アルコール特にビールの摂取量は、8月をピークとして夏季に増加します。
ビールには尿酸値をあげるプリン体という物質が多く含まれており、飲む量が増えれば増えるほど、尿酸値が上がることもわかっています。

ビール以外のアルコールでもアルコール自体を分解する過程で尿酸値が増えますが、飲酒量が多いと考えられる年末年始の時期に痛風発作の発症が比較的少ないことから、夏季に痛風発作が増えるのはビールの摂取量が大きく影響している可能性が高そうです。

またアルコールには利尿作用があるため、脱水を起こしやすく、さらに尿酸値をあげてしまう恐れがあります。

 

3. 清涼飲料水による血液中の尿酸値上昇

清涼飲料水に多く含まれるフルクトースやショ糖という糖質は、実は尿酸値を上昇させることが知られています。

特に、運動後に清涼飲料水を摂るとさらに尿酸値が上がりやすいことも報告されています。

気温の高い夏季は、清涼飲料水を大量に摂取する機会が大奥なります。
清涼飲料水を1日700ml以上飲むと、飲まない場合に比べて痛風が、1.85倍増加するという研究結果もあり、これはビールの次に痛風発作を起こしやすい原因となっています。

 

夏季にスポーツ→清涼飲料水/ビールで乾杯は危険

前述の3大要因を踏まえると尿酸値が高い方は、夏季にスポーツや筋力トレーニング、サウナに入るなどをした後に、清涼飲料水をガブ飲みしたり、ビールを飲んだりするのは痛風発作の危険がある、ということになります。

私も暑い時期のビールは大好きですが、注意はしないといけません。

 

痛風発作予防に日常生活で注意すべきこと

尿酸値を下げて、痛風や高尿酸血症を予防するにはどうしたらよいのでしょうか。

「バランスの良い食事を摂り、飲酒は適量にし、軽い運動をすること」
と言葉にするといかにも体によさそうな表現になります。

 

1. バランスのよい食事を心がけ、プリン体を多く含む食品は控える

食事の中でも特にプリン体を多く含む食事は控えるべきで、日本痛風・核酸代謝学会の発行している「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版」によれば、1日のプリン体の摂取量は400mg程度になるように推奨されています。

一般的な定食(主食+主菜+副菜=一汁二菜または一汁三菜)のような食事で、主催の肉や魚を80-100g使っている場合、定食1食分のプリン体量は、およそ140-180mgになります。

プリン体の少ない豆腐、納豆、卵、乳製品を主菜にすると、1食分のプリン体量は、30-40mgとなります。

1日のプリン大量を約400mgにするためには、バランスのとれた定食のような食事を2回、もう1回はプリン体の少ない食材を使った食事にすればよい、ということになります。

また、レバー、白子、干物などプリン体を多く含む食べ物を摂りすぎないように注意することも重要です。

 

食品中のプリン体含有量(100g あたり)
極めて多い(300mg〜) 鶏レバー、干物(マイワシ)、白子(イサキ、ふぐ、たら)、アンコウ、太刀魚、健康食品
(DNA/RNA、ビール酵母、クロレラ、ローヤルゼリーなど)
多い(200〜300mg) 豚レバー、牛レバー、カツオ、マイワシ、大正エビ、オキアミ、干物(マアジ、サンマ)など
中程度(100〜200mg) 肉(豚、牛、鶏)類の多くの部位や魚類などほうれんそう(芽)、ブロッコリースプラウト
少ない(50〜100mg) 肉類の一部(豚、牛、羊)、魚類の一部、加工肉類など ほうれんそう(葉)、カリフラワー
極めて少ない(〜50mg) 野菜類全般、米などの穀類、卵(鶏・うずら)、乳製品、豆類、きのこ類、豆腐、加工食品など

高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版より

 

プリン体は水に溶ける性質があるため、ゆでる・蒸す・煮るなどの調理法でプリン体を少なくすることもできます。ただし、ゆで汁・煮汁にはプリン体が溶け込んでいるので飲まないようにしましょう。

 

2. 適度な有酸素運動を心がける

軽い運動は痛風予防になりますが、激しい運動や無酸素運動は尿酸値を上げるので、注意が必要です。

ウオーキング、ジョギング、サイクリングなど脈が少し早くなる程度の有酸素運動を少なくとも10分以上、できれば1日30分以上、週3回程度行うのが理想的です。

運動をする際には、脱水予防に適度な水分補給も忘れずに行いましょう。

 

© 2020 Inui pediatrics and internal medicine clinic

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