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ダニ媒介性脳炎ワクチン「タイコバック」とは?

ダニ媒介性脳炎は、マダニが媒介するウイルス感染症で、重篤な脳炎を引き起こすことがあります。

これまで日本では予防手段が限られていましたが、2024年3月にファイザー社から新たに「タイコバック®」というワクチンが承認され、予防が可能となりました。

今回は、このワクチンの効果や接種スケジュール、副反応、さらに北海道での感染リスクについて解説します。

日本でもリスクあり(特に北海道+アウトドア)

日本ではあまり知られていませんが、世界では決してまれな病気ではありません。ダニ媒介脳炎ウイルスにはいくつかの種類があり、ヨーロッパ亜型、シベリア亜型及び極東亜型が知られています。日本では極東亜型のウイルスが分布しています。

ダニ媒介性脳炎に感染すると、発熱や頭痛、筋肉痛などの初期症状が現れ、その後、意識障害やけいれんなどの重篤な神経症状を引き起こすことがあります。極東亜型のウイルスに感染すると徐々に発症し、頭痛・発熱・悪心・嘔吐等の髄膜炎症状が見られ、さらに脳脊髄炎を発症すると精神錯乱・昏睡(こんすい)・痙攣および麻痺(まひ)などの中枢神経症状を呈します。極東亜型のウイルスに感染した場合、最も重篤な経過をとり、その致死率は20%~40%、生残者の30~40%に神経学的後遺症がみられるといわれています。

国内では、2024年8月までに北海道で7例のダニ媒介性脳炎症例が報告されています。北海道では、抗ダニ媒介性脳炎ウイルス抗体を保有する動物が広範な地域に生息していることが明らかになっていますので、特に注意が必要なリスク地域と言えるでしょう。

また北海道以外でも抗ダニ媒介性脳炎ウイルス抗体保有動物の存在は確認されており、感染リスクのある地域が北海道だけではないことを知っておくことも大切です。

海外での感染リスク

ヨーロッパからアジアにかけて30か国以上に分布しており、全世界で毎年1万から1万5千人の患者さんが報告されています。 ​特に以下の地域での感染リスクが高いとされています。​

  • 中央ヨーロッパおよび東ヨーロッパ:
    オーストリア、ドイツ、スロベニア、バルト三国(リトアニア、エストニア、ラトビア)、ロシアなど
  • 北欧
    ​スウェーデン、フィンランドなど
  • アジア
    ロシア極東部、中国北部など

これらの地域では、マダニが多く生息する森林や草地でのアウトドア活動(ハイキング、キャンプ、狩猟など)を行う際に、ダニ媒介性脳炎ウイルスを保有するマダニに刺されるリスクが高まります。

タイコバックとは?

「タイコバック」はダニ媒介性脳炎を予防するワクチンで、2024年に日本で初めて承認されたワクチンです。ダニ

✔ ファイザー製
✔ 不活化ワクチン(安全性が高いタイプ)
✔ 小児・成人ともに接種可能

小児用(1歳〜15歳):タイコバック小児用水性懸濁筋注0.25mL

大人用(16歳以上):タイコバック水性懸濁筋注0.5mL

効果はどのくらい?

3回接種後の効果は、ほぼ100%です。接種から3-5年たつと効果が減弱するため、3-5年ごとに接種が必要です。

また、ワクチン接種をしていてもダニ媒介脳炎(tick-borne encephalitis: TBE)を完全に予防できるわけではありませんので、リスクの高い環境下では基本的なダニの予防策も行ってください。

接種スケジュール(基本3回)

■ 初回免疫

  • 初回接種:0.5mLを筋肉内に接種
  • 2回目接種:初回接種の1~3ヶ月後に実施
  • 3回目接種:2回目接種の5~12ヶ月後に実施

この3回の接種で初回免疫が完了し、その後、必要に応じて追加接種を行います。

■ 追加接種

  • 16〜60歳:5年ごと
  • 60歳以上:3年ごと

こんな方におすすめ

TBEが流行している森林地帯での野外活動を計画している人。

例:

レクリエーション(キャンプ、ハイキング、山菜採りなど)

就労(農業、木こり、野外活動・森林管理者、森林の環境調査団、軍人・傭兵、政府・国際団体などでそれらの地域に赴く方)、

冒険旅行する人、広範囲に野外での活動する人など。

副反応について

主な副反応は

  • 注射部位の痛み・腫れ(30%前後)
  • 発熱
  • 頭痛・下痢(21.1%)

などで、ほとんどは数日で改善します。

料金

  • 1回:16,500円(税込)

よくある質問(FAQ)

Q. 日本で打つ必要ある?

👉 北海道やアウトドア活動がある方は検討の価値あります

Q. 海外旅行前は必要?

👉 欧州・北欧では推奨されることが多い

Q. いつから打つべき?

👉 渡航・活動の3〜6ヶ月前開始が理想(2回目接種後約2週間で約90%以上の方が防御抗体価に到達したとの報告があります)

まとめ|“刺される前に予防”が唯一の対策

ダニ媒介性脳炎は
✔ 治療より予防が重要
✔ 一度重症化するとリスクが高い

そのため
👉 ワクチン+防虫対策の両方が重要です

この記事の執筆・監修者

乾 恵輔(いぬい けいすけ) 乾小児科内科医院 院長

【保有資格】

  • 日本内科学会認定 総合内科専門医
  • 日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医
  • 日本循環器学会認定 循環器専門医

院長よりメッセージ: ダニ媒介性脳炎は、国内ではまだ馴染みが薄いかもしれませんが、一度発症すると重篤な後遺症を残すリスクがある恐ろしい疾患です。これまで海外でしか接種できなかったワクチンが、国内で「タイコバック」として承認されたことは、北海道や海外渡航を予定されている方にとって大きな安心に繋がります。

当院では総合内科専門医として、最新の知見に基づいたワクチン接種の判断やスケジュール管理をサポートしています。小児用・成人用ともにお取り扱いしておりますので、キャンプや登山、海外赴任・旅行を控えている方は、ご家族の安全を守るためにぜひ一度ご相談ください。


【トラベル外来・ワクチン接種のご案内】 「タイコバック」の接種や、渡航に向けた健康相談をご希望の方へ。 本ワクチンは取り寄せに1週間ほどお時間をいただきます。余裕を持ってご予約ください。

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