聴診器とカサとボールペン
はじめて聴診器を買ったのはたしか大学4年生の時です。
5年生から始まる病院実習に向けて、OSCE(オスキー)と呼ばれる実技テスト(これに合格しないと実習ができません)が4年時にあるのですが、「聴診の仕方」みたいな授業があったりするので書いました。

聴診器メーカーは何社かあるのですが、大半の人はリットマンというメーカーの標準モデルを使っていました。ここ載せた以外にも結構何色もありますが、黄色や水色や紫色などの派手な色を使う人はほとんどおらず、黒か紺か青か小豆色かあたりが定番でした。私が使っていたのは確か深緑色のもので、結局たぶんその後10年くらいはそれを使っていたと思います。
聴診器を手にするといよいよ「お医者さん」になったような気がしてかなり嬉しかったことを覚えています。
それから時を経て、2年間の研修医生活を終え、循環器内科の道を選びました。
循環器医といえばこれでしょ!
と「マスターカーディオロジー(循環器マスター)」というそのまんまのネーミングの高級聴診器を購入。

ずっしりと重厚感があり、持っているだけでデキル循環器になった気分に浸れる代物です。
さて、それから数ヶ月を経たある日、そういえば、例のアレがないことに気が付きます。
病棟や外来やカテ室や救急外来やICUや、と思い当たるところをくまなく探すも見つかりません。
けっこう高かったのにな、とほほ。
それから数週間経ったある日先輩から「お前ステート(聴診器)なくしてない?」と声をかけられます。
「そーなんですよ、せっかく買ったのにすぐになくしてしまい凹んでたところなんです、、」と答えると
「そのステート教授が外来で使ってたよ(笑)」と
急いで外来に行ってみると、確かにそこには愛しの聴診器。
どうやら外来に忘れてしまっていたようで、無事回収できました。名前を刻印していてよかった。
でも結局それから数ヶ月後にまたなくしてしまい、その後は行方しらず。
またなくしそうなのでそれからは普通の聴診器しか買っていません。
病棟で誰かに借りボールペンも長旅に出ることがよくあります。
聴診器とボールペンと傘は天下の回りもの、というお話でした。

