熱中症対策で「水分をとって」と言われるけれど、何をどれくらい飲めばいいの?
暑い季節になると、「熱中症予防のためにしっかり水分をとりましょう」とよく耳にします。
しかし実際には
- 水と麦茶ならどちらがいいの?
- スポーツドリンクを飲んだ方がいい?
- 経口補水液はいつ飲むの?
- 1日にどれくらい飲めばいいの?
といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
実は私自身、真夏にテニスの大会中、熱中症になりかけた経験があります。頭痛や足のけいれんが出現したため、日陰で休みながらスポーツドリンクを大量に飲んでなんとか回復しました。医師である私でも油断すると熱中症になる。それほど身近な病気なのです。
今回は、熱中症予防のための水分補給について、わかりやすく解説します。
熱中症対策では「水分」と「塩分」の補給が大切
私たちは汗をかくことで体温を下げています。
しかし、汗と一緒に失われるのは水分だけではありません。塩分(ナトリウム)などの電解質も失われています。
特に気温が高い日や運動をした日には、水分不足や塩分不足によって熱中症が起こりやすくなります。
熱中症予防では、「水分補給」と「適切な塩分補給」の両方が大切です。
普段の水分補給なら水や麦茶で十分
日常生活での水分補給であれば、水や麦茶を中心に飲むのがおすすめです。
麦茶にはカフェインが含まれておらず、小さなお子さんから高齢者まで安心して飲むことができます。
室内で過ごしている日や、汗をそれほどかいていない場合は、水や麦茶をこまめに飲むだけでも十分な熱中症対策になります。
大量に汗をかいたときはスポーツドリンクも有効
屋外での作業やスポーツなどで大量の汗をかいた場合には、水だけでなく塩分も失われています。
このような場合には、スポーツドリンクが役立ちます。
スポーツドリンクには水分だけでなく、ナトリウムや糖分も含まれているため、汗で失われた成分を補いやすくなります。
ただし、スポーツドリンクには糖分が多く含まれています。
普段の水分補給として何本も飲むことはおすすめできません。
特に糖尿病の方や肥満が気になる方、お子さんでは飲みすぎに注意しましょう。
スポーツドリンクと経口補水液の違い
「スポーツドリンクと経口補水液は何が違うのですか?」という質問をよく受けます。
どちらも水分補給に使われますが、目的が異なります。
| スポーツドリンク | 経口補水液 | |
|---|---|---|
| 主な目的 | 発汗時の水分補給 | 脱水状態の改善 |
| 塩分(ナトリウム) | やや少なめ | 多め |
| 糖分 | 多め | 少なめ |
| 日常的な水分補給 | △ | × |
| 熱中症や脱水時 | ○ | ◎ |
経口補水液はどんなときに飲む?
経口補水液(OS-1など)は、脱水状態の改善を目的として作られた飲み物です。
次のような場合に有効です。
- 熱中症が疑われるとき
- 発熱が続いているとき
- 嘔吐や下痢があるとき
- 食事や水分が十分にとれないとき
スポーツドリンクよりも電解質濃度が高く、脱水改善に優れています。
一方で、健康な方が予防目的で日常的に飲む必要はありません。
「経口補水液の方が体によさそうだから毎日飲む」という使い方はおすすめできません。
どれくらい飲めばいい?
「1日何リットル飲めばいいですか?」という質問を受けることがあります。
しかし、必要な水分量は年齢や体格、気温、運動量によって大きく変わります。
そのため、一律に「○リットル飲みましょう」とは言えません。
そこで参考になるのが尿の色です。
尿の色をチェックしてみましょう
- 薄い黄色 → 水分は十分
- やや濃い黄色 → 少し不足気味
- 濃い黄色 → 水分不足の可能性
特に暑い日は、尿が濃い黄色になっていないか確認してみましょう。
のどが渇いてから飲むのではなく、定期的に少しずつ飲むことが大切です。
子どもの熱中症予防で気を付けたいこと
子どもは大人よりも熱中症になりやすいと言われています。
その理由の一つが、「のどが渇いていても遊びに夢中になって水分補給を忘れてしまう」ことです。
特に公園やスポーツ活動では、保護者の方が意識的に水分補給の時間を作ることが大切です。
また、
- 顔が赤い
- 元気がない
- ぐったりしている
- 頭痛や吐き気を訴える
といった症状があれば熱中症の可能性があります。
無理をせず涼しい場所へ移動し、水分補給を行いましょう。
まとめ
熱中症予防の基本は、こまめな水分補給です。
- 普段は水や麦茶で十分
- 大量に汗をかいたときはスポーツドリンクも有効
- 脱水時には経口補水液が役立つ
- 尿の色を目安に水分不足をチェックする
- 子どもは周囲が声をかけて水分補給を促す
暑さが本格化するこれからの季節は、のどが渇く前から少しずつ水分を補給する習慣をつけましょう。
熱中症が疑われる症状がある場合や、水分が十分にとれない場合には早めに医療機関へご相談ください。

