マラリア予防薬「マラロン」とは?効果・飲み方・副作用を医師が解説
海外渡航を予定している方の中には、「マラリアが心配」「予防薬は飲んだ方がいいの?」と疑問をお持ちの方もいるでしょう。
マラリアは蚊を介して感染する病気で、特にアフリカや南アジア、東南アジアの一部地域では現在も多くの患者が発生しています。
今回は、マラリア予防薬として広く使用されている「マラロン」について、効果や飲み方、副作用などをわかりやすく解説します。
マラリアとは?
マラリアは、マラリア原虫を持つハマダラカに刺されることで感染する病気です。
感染すると、
- 発熱
- 悪寒
- 頭痛
- 筋肉痛
- 倦怠感
などの症状が現れます。
症状は一度治まったように見えても、再び発熱を繰り返すことがあります。
軽症の場合でも貧血や黄疸(皮膚や白目が黄色くなる症状)がみられることがあります。また、重症化すると意識障害やけいれん、呼吸困難、腎機能障害などを起こし、命に関わることもあります。
症状は蚊に刺されてから通常1~2週間程度で現れますが、数か月以上経ってから発症する場合もあります。そのため、帰国後しばらく経ってから発熱した場合でも、渡航歴を医療機関へ伝えることが重要です。
特に熱帯熱マラリアは進行が早く、短時間で重症化することがあります。マラリア流行地域への渡航歴があり、発熱などの症状が出た場合は、できるだけ早く医療機関を受診しましょう。
マラロンとは?
マラロンは「アトバコン」と「プログアニル塩酸塩」を配合したマラリア予防薬です。
熱帯熱マラリアに対して高い予防効果があり、現在では海外渡航者に最も広く使用されている予防薬の一つです。
マラロンの内服が推奨される地域
マラロンは主に以下のような地域へ渡航する際に検討されます。
アフリカ
- ケニア
- タンザニア
- ウガンダ
- ガーナ
- ナイジェリア
- 南アフリカ(一部地域)
南アジア
- インド
- バングラデシュ
- パキスタン
東南アジア
- カンボジア
- ラオス
- ミャンマー
南米
- ブラジル(アマゾン地域)
- ペルー
- ボリビア
同じ国でも地域によってリスクが異なるため、渡航先に応じた個別判断が必要です。
マラロンの飲み方
マラロンは以下のスケジュールで服用します。
渡航前
現地到着の1~2日前から服用開始
滞在中
毎日1回服用
帰国後
帰国後も7日間継続
以前から使われていた予防薬の中には帰国後4週間の服用が必要なものもありますが、マラロンは帰国後7日間で終了できるため、服薬負担が比較的少ないのが特徴です。また、副作用も比較的少なく、服用しやすい予防薬として広く使用されています。
マラロンの副作用
一般的には副作用が少なく、安全性の高い薬とされています。
主な副作用として、
- 腹痛
- 下痢
- 吐き気
- 頭痛
- 食欲低下
などがあります。
多くは軽度で自然に改善します。
また、食後に服用することで胃腸症状が軽減されることがあります。
子どもでも飲める?
マラロンには小児用製剤があります。
体重に応じて服用量が決まるため、小児の海外渡航でも使用可能です。
マラリア流行地域へ留学するお子さんや海外赴任に同行するご家族のお子さんにも処方が可能です。
マラロンを飲むだけで十分?
残念ながら、予防薬を飲んでも感染リスクを100%防ぐことはできません。
そのため、
- 長袖・長ズボンを着用する
- 虫よけ剤を使用する
- 蚊帳を利用する
- 夜間の蚊の多い場所を避ける
といった蚊に刺されない対策も非常に重要です。
トラベルクリニックで相談しましょう
マラリアのリスクは国だけでなく、訪問する地域や滞在期間、旅行スタイルによっても大きく異なります。
また、必要なワクチンや感染症対策は渡航先によって異なります。
海外渡航が決まったら、できれば出発の1か月以上前を目安にトラベルクリニックへご相談ください。ワクチンによっては複数回の接種が必要な場合もあるため、渡航が決まったら早めの受診をおすすめします。
この記事の執筆者

乾 恵輔(いぬい けいすけ) 乾小児科内科医院 院長
学生時代より東南アジアをはじめとしたマラリア流行地域への海外渡航・短期留学の経験があり、現在は日本渡航医学会に所属。渡航前ワクチンやマラリア予防を含むトラベル外来を担当している。
【保有資格】
- 日本内科学会認定 総合内科専門医
- 日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医
- 日本循環器学会認定 循環器専門医
- 日本渡航医学会所属
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