高山病予防薬「ダイアモックス」の処方について|効果・副作用・費用を解説
ペルーのクスコ、ボリビアのラパス、チベットのラサ、ネパールのエベレスト街道など、標高の高い地域への旅行や登山を予定している方は、高山病への備えが大切です。
「以前、高山病になったことがある」
「飛行機などで短時間に高地へ移動する予定がある」
「旅行や登山をできるだけ安心して楽しみたい」
そのような方には、高山病予防薬であるダイアモックス(一般名:アセタゾラミド)が有効な場合があります。
当院では、日本渡航医学会所属の医師が旅行・登山計画や持病、服用中のお薬などを確認したうえで、高山病予防を目的としたダイアモックスの処方を行っています。
この記事のポイント
- ダイアモックスは、高山病の発症リスクを減らすことが期待できる予防薬です。
- 高山病予防で最も重要なのは、薬ではなく高度順化(ゆっくり高度に慣れること)です。
- 過去に高山病になった方や、高地へ短時間で移動する方では、予防内服を検討することがあります。
- 高山病が疑われる場合は、それ以上高度を上げず、必要に応じて標高を下げることが最も重要です。
こんな方におすすめの記事です
- 高地への海外旅行を予定している
- 富士登山や海外トレッキングを予定している
- 以前高山病になったことがある
- ダイアモックスについて知りたい
高山病とは?

高山病は、標高の高い場所で酸素が少ない環境に身体が順応できずに起こる病気です。特に飛行機などで短時間に高地へ到着すると、体が順応する時間がないため発症しやすくなります。
一般的には標高2,500m以上で起こりやすくなります。通常は2〜5日ほどで体が慣れ、自然と良くなります。しかし、まれに高地脳浮腫(脳の腫れ)や高地肺水腫(肺に水が溜まる)といった重い病気に進行することがあります。
高山病に注意したい主な旅行先・登山先の一例
| 行き先 | 標高 |
|---|---|
| 富士山山頂 | 3,776m |
| クスコ(ペルー) | 約3,400m |
| ラパス(ボリビア) | 約3,600m |
| ラサ(チベット) | 約3,650m |
主な症状
高山病では次のような症状がみられます。
- 頭痛(最も多い症状)
- 吐き気・嘔吐
- 食欲低下
- めまい
- 強い疲労感
- 睡眠障害
初めは「軽い風邪かな」「二日酔いかな」と感じることもあります。
多くは軽症で改善しますが、重症化すると高山性肺水腫や高山性脳浮腫を起こし、命に関わることがあります。
高山病予防で最も重要なのは「高度順化」
ダイアモックスは有効なお薬ですが、高山病予防の基本は薬ではありません。
身体をゆっくり高地に慣らす高度順化が最も重要です。
旅行や登山では次のことを心がけましょう。
- 急激に高度を上げない
- 十分な水分補給を行う
- 飲酒を控える
- 睡眠不足や疲労を避ける
- 到着直後は無理な運動をしない
そして最も大切なのは、
高山病の症状が出たら、それ以上高い場所へ登らないこと
です。
症状が改善しない場合や悪化する場合は、標高を下げることが最も重要な対応となります。
ダイアモックス(アセタゾラミド)とは?
ダイアモックスは、高山病の予防に世界的に広く使用されているお薬です。
呼吸を促進し、高地環境への順応(高度順化)を助けることで、高山病の発症リスクを減らすことが期待できます。
※高山病を完全に防ぐ薬ではありません。高度順化とあわせて使用することが大切です。
服用を検討する必要がある方
- 過去に高山病になったことがある
- 飛行機などで高地へ直接移動する
- 登山・旅行の日程に余裕がない
- 標高3,000m以上で宿泊予定がある
服用方法
一般的には、
- 高地へ到着する前日または当日から開始
- 高地滞在中も48時間は内服を継続します

実際の服用量や服用期間は、旅行先、到達予定標高、滞在日数、持病、服用中のお薬などを考慮して医師が判断します。
主な副作用
比較的安全に使用できる薬ですが、次のような副作用があります。
- 手足や口の周囲のしびれ
- 尿量が増える
- 味覚異常(炭酸飲料がまずく感じられる、金属のような味がするなど)
- 吐き気
- 食欲低下
使用できない・慎重な判断が必要な方
以下に該当する方は、使用できない場合や慎重な判断が必要です。
- 本剤でアレルギーを起こしたことがある方
- サルファ剤にアレルギーがある方(ダイアモックスはサルファ剤の一種であるため、サルファ剤アレルギーのある方は服用できません。)
- 重い腎機能障害・肝機能障害のある方
- 強い電解質異常のある方
- 妊娠中・授乳中の方
当院での処方について
診察では、安全に服用できるか判断するため、次の内容を確認します。
- 渡航先・登山先
- 到達予定標高
- 滞在日数
- 過去の高山病歴
- 持病
- 現在服用中のお薬
旅行日程に応じて必要な処方日数が異なります。
旅行・登山の日程(航空券や登山計画書など)が分かるものをご持参いただくと、診察がスムーズです。
費用(税込)
ダイアモックスの処方は自由診療となります。
| 内容 | 費用(税込) |
|---|---|
| 自費診察料 | 2,200円 |
| ダイアモックス(1日分) | 330円 |
保険診療と同日にダイアモックスを処方する場合は、自費診察料はかかりません。お薬代のみのご負担となります。
よくある質問
ダイアモックスは市販されていますか?
いいえ。
医師の処方箋が必要な医療用医薬品です。
以前高山病になったことがあります。予防薬は必要ですか?
過去に高山病になった方は再発する可能性があります。
旅行計画や登山計画によって予防内服が適している場合がありますので、ご相談ください。
出発の何日前までに受診すればよいですか?
服薬方法の説明や持病・飲み合わせの確認を行うため、出発の1〜2週間前までの受診をおすすめしています。
まとめ
高山病は適切な知識と事前の準備によって発症リスクを減らすことができます。
最も重要なのは無理をせずゆっくり高度を上げること、そして症状が出たらそれ以上高度を上げず必要に応じて標高を下げることです。
ダイアモックスは、高度順化を助け、高山病予防をサポートするお薬です。旅行や登山の計画に応じて適応が異なるため、医師と相談のうえ使用することをおすすめします。
高崎市周辺でダイアモックスの処方や、高地への旅行・登山前のご相談をご希望の方は、お気軽にお問い合わせください。
この記事の執筆者

乾 恵輔(いぬい けいすけ) 乾小児科内科医院 院長
【保有資格】
- 日本内科学会認定 総合内科専門医
- 日本循環器学会認定 循環器専門医
- プライマリーケア学会認定医
- 日本渡航医学会所属
当院は高崎駅西口から車で5分、駐車場も8台完備しています



