健康診断で中性脂肪が高いと言われたら|放置してよい?受診の目安と改善方法を医師が解説
健康診断で「中性脂肪が高い」と言われた方へ
健康診断の結果を見て、「中性脂肪(TG)が高いですね」と指摘されたものの、自覚症状がないため、そのままにしていませんか?
中性脂肪は、食事や運動不足、飲酒などの生活習慣の影響を受けやすい項目です。一方で糖尿病や脂肪肝などの病気が隠れていることもあります。
この記事では、中性脂肪とは何か、数値の見方、原因、改善方法、受診の目安について解説します。
中性脂肪(TG)とは?
中性脂肪は、トリグリセリド(Triglyceride:TG)とも呼ばれる脂質の一種です。体を動かすための大切なエネルギー源で、食事で摂ったエネルギーを「貯金」しておく役割があります。
食事から摂った糖質や脂質は、体内でエネルギーとして利用されます。そのときに使い切れなかったエネルギーの一部は中性脂肪に変えられ、主に脂肪細胞に蓄えられます。食事をしていないときや運動するときには、この中性脂肪が分解され、エネルギーとして利用されます。
つまり、中性脂肪そのものは体にとって不要なものではありません。エネルギーの貯蔵に利用されるほか、中性脂肪を蓄える脂肪組織には、体温を保ち、内臓を衝撃から守る役割もあります。
一方で、食べ過ぎや飲酒、運動不足などによって中性脂肪が増えすぎると、血液中の数値も高くなります。高い状態が続くと、脂肪肝や動脈硬化と関連するほか、糖尿病や高血圧などの生活習慣病を合併していることもあります。
健康診断では、血液中に含まれる中性脂肪の量を測定し、脂質代謝や生活習慣の状態を確認しています。
健康診断ではどのくらいから高い?
中性脂肪は空腹時で150mg/dl以上、随時で175mg/dl以上で高いと判定されます。
| 中性脂肪(TG) | 目安 |
|---|---|
| 空腹時150mg/dL未満 | 基準範囲内 |
| 空腹時150mg/dL以上 | 高トリグリセライド血症 |
| 随時175mg/dL以上 | 高トリグリセライド血症 |
| 500mg/dL以上 | 著明高値。早めの受診を推奨 |
放置するとどうなる?
動脈硬化が進みやすくなる
中性脂肪が高い方では、HDLコレステロール(善玉コレステロール)が低下したり、動脈硬化を起こしやすいタイプのLDLが増えたりすることがあります。
動脈硬化は自覚症状がないまま進行し、心筋梗塞や脳梗塞として初めて見つかることもあります。そのため、症状がないうちから生活習慣を改善し、必要に応じて治療を受けることが重要です。
脂肪肝になりやすい
健康診断で
- 中性脂肪が高い
- ALT(GPT)が高い
という方は、脂肪肝を合併していることが少なくありません。脂肪肝は初期にはほとんど症状がありません。しかし、放置すると肝炎や肝硬変へ進行することもあるため、早めに生活習慣を見直すことが大切です。
急性膵炎の原因になることも
中性脂肪が500mg/dLを超える頃からリスクが上昇し、1,000mg/dL以上では急性膵炎を起こす危険性が高くなります。
急性膵炎は強い腹痛を伴い、重症化すると命に関わることもあるため、中性脂肪が著しく高い場合には早めの受診が大切です。
中性脂肪が高くなる主な原因
中性脂肪が高くなる原因の多くは生活習慣ですが、病気が隠れている場合もあります。代表的な原因を見てみましょう。
🍴 生活習慣が原因
- 食べ過ぎ
- 甘い飲み物やお菓子の摂り過ぎ
- アルコールの飲み過ぎ
- 運動不足
- 肥満
中性脂肪は「脂っこい食事」だけではなく、糖質やアルコールの摂り過ぎでも上昇しやすいことが特徴です。
🩺 病気が原因
- 糖尿病
- 脂肪肝
- 甲状腺機能低下症
- 腎臓の病気
- 遺伝性脂質異常症
中性脂肪を下げるためにできること
生活習慣を少し見直すだけでも、中性脂肪が改善することがあります。今日から始められるポイントをご紹介します。
① 甘い飲み物を減らす
ジュース(果汁100%を含む)やスポーツドリンク、加糖コーヒーなどは、中性脂肪を上げる大きな原因です。
② アルコールを見直す
ビール、日本酒、チューハイなどのアルコールは、中性脂肪を上昇させる原因の一つです。
「毎日飲んでいるから休肝日を作ればよい」というよりも、普段の飲酒量そのものを減らすことが改善につながります。
1回に飲む量や1週間の総飲酒量を意識してみましょう。
③ 適度な運動
厚生労働省の「身体活動・運動ガイド2023」では、
- 1日60分程度体を動かすこと
- 息が弾み汗をかく程度の運動を週60分以上
が推奨されています。
まとまった時間が取れなくても、普段より歩く時間を増やしたり、こまめに体を動かしたりすることが、中性脂肪の改善につながります。
④ 体重を少し減らす
体重を3〜5%減らすだけでも、中性脂肪だけでなく、血糖値や血圧の改善も期待できます。
急激な減量ではなく、無理なく続けられる方法を選ぶことが大切です。
⑤ 積極的に取りたい食品
まずは糖質やアルコールの摂り過ぎを見直したうえで、次のような食品を積極的に取り入れましょう。
| 食品 | 期待できること |
|---|---|
| 🐟 青魚(EPA・DHA) | 中性脂肪の改善に役立つ |
| 🥗 野菜 | 食物繊維を多く含む |
| 🌿 海藻 | 食物繊維が豊富 |
| 🫘 大豆製品 | 良質なたんぱく質を補給できる |
| 🌾 食物繊維が豊富な食品 | 糖や脂質の吸収を穏やかにする |
⑥ 控えたい食品
以下のような食品は糖質や脂質を多く含み、中性脂肪を上昇させやすいため、摂り過ぎには注意しましょう。
| 控えたい食品 | 理由 |
|---|---|
| 🥤 清涼飲料水 | 糖分が多い |
| 🥐 菓子パン | 糖質・脂質が多い |
| 🍰 ケーキ・お菓子 | 砂糖・脂質が多い |
| 🍨 アイスクリーム | 糖質・脂質が多い |
| 🍺 アルコール | 中性脂肪の合成を促進しやすい |
病院を受診した方がよいケース
次のような場合は、一度内科を受診することをおすすめします。
- 300mg/dL以上が続いており、生活習慣を見直しても改善しない
- 500mg/dL以上ある
- 糖尿病や高血圧も指摘されている
- 肝機能異常もある
- 毎年改善しない
- 家族に脂質異常症が多い
生活習慣だけでなく、他の病気が隠れていないかを確認することも重要です。
よくある質問
Q. 食事だけで改善できますか?
軽度の高値であれば、食事や運動、減量によって改善する方も少なくありません。ただし、高値が続く場合や500mg/dL以上の場合は、薬物療法が必要になることがあります。
Q. 薬は飲まなければいけませんか?
軽度の上昇であれば、まず生活習慣の改善を行うことが一般的です。
ただし、非常に高い場合や、他の生活習慣病を伴う場合には薬物治療を検討することがあります。
Q. コレステロールとは違うのですか?
はい。
どちらも「脂質」ですが役割が違います。中性脂肪は「体を動かすエネルギー源(予備燃料)」、コレステロールは「細胞膜やホルモンを作る材料(建材)」です。高すぎる場合のリスクや治療アプローチも異なるため、それぞれの数値に合わせた対策が必要です。
まとめ
中性脂肪が高い状態は、生活習慣を見直すサインです。自覚症状がないからこそ、今のうちに対策を始めることで、将来の心筋梗塞や脳梗塞などの大きな病気を防ぐことができます。
多くの方は生活習慣の改善で数値の改善が期待できます。一方で、高値が続く場合や著しく高い場合は治療が必要になることもあります。
「何から手をつければいいか分からない」「数値が高くて不安…」という方は、ぜひ健康診断の結果を持って当院へお越しください。
当院では、中性脂肪だけでなく、コレステロールや血糖値、肝機能なども総合的に評価し、糖尿病専門医・循環器専門医があなたに無理のない改善プランを一緒に考えます。
この記事の執筆者

乾 恵輔(いぬい けいすけ) 乾小児科内科医院 院長
【保有資格】
- 日本内科学会認定 総合内科専門医
- 日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医
- 日本循環器学会認定 循環器専門医
当院は高崎駅西口から車で約5分、駐車場も8台完備しています



