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HbA1cがなかなか下がらない…見直したい5つのポイント

2026/09/17
HbA1cがなかなか下がらず悩む女性と、HbA1cの推移を示すグラフを描いたイラスト。見直したい5つのポイントを解説する記事のアイキャッチ画像

糖尿病の治療を続けているのに、

「食事には気をつけているのに、HbA1cが下がらない」

「薬もきちんと使っているのに、なぜ上がってしまうのだろう」

「前より頑張っているのに、結果につながらない」

このように感じたことはありませんか。

HbA1cは、過去1〜2か月の血糖状態を反映する大切な指標です。ただし、HbA1cが高いからといって、単純に「食べすぎ」や「努力不足」とは限りません。

血糖値には、食事や運動だけでなく、薬の使い方、体重、睡眠、ストレス、体調、糖尿病そのものの変化など、さまざまな要因が影響します。

今回は、HbA1cがなかなか下がらないときに確認したい5つのポイントを、糖尿病専門医が解説します。

HbA1cが下がらないときに確認したい5つのことを示した図。食事・飲み物・間食、活動量・体重、薬・現在の治療、睡眠・ストレス・体調、自分に合った目標値。努力不足と決めつけず原因を一つずつ確認する
目次(押すと目次が出ます)

1.食事量だけでなく、飲み物・間食・食べる時間を見直す

糖尿病というと、まず「食べる量を減らさなければ」と考える方が多いかもしれません。

もちろん食事量は大切ですが、それだけでなく、何を食べているか、いつ食べているかも血糖値に影響します。

特に確認したいのは、ご飯、パン、麺類、甘い飲み物、お菓子などに含まれる糖質です。例えば、次のような習慣が重なると、本人が思っている以上に血糖値が上がりやすくなります。

  • 朝食を抜き、昼食をまとめて多く食べる
  • ラーメンと炒飯、うどんといなり寿司など、主食を重ねて食べる
  • ジュースやスポーツドリンクをよく飲む
  • 少量の間食を一日に何度もとる
  • 夜遅い時間に夕食や夜食をとる

健康のために毎日飲んでいるものが、血糖値に影響していることもあります。野菜ジュース、果物入りのスムージー、乳酸菌飲料などは、その代表例です。

「砂糖不使用」と表示されていても、野菜や果物、乳製品などに由来する糖質が含まれている商品があります。商品名や健康的なイメージだけで判断せず、栄養成分表示の「炭水化物」または「糖質」と、実際に飲んでいる量を確認してみましょう。

野菜ジュースやスムージー、乳酸菌飲料の糖質を確認する3つの手順を示した図。商品名だけで判断しない、栄養成分表示の炭水化物・糖質を見る、1本全部でどれくらいか確かめる。砂糖不使用でも糖質ゼロとは限らない

飲み物は短時間で摂取でき、習慣になると毎日続くため、影響が小さくありません。糖尿病外来では毎日飲んでいた甘い乳酸菌飲料をやめたことで、HbA1cが1%程度下がったということも経験しました。

「そんなに食べていないのに」と感じるときほど、食事量だけでなく、飲み物、間食、主食の重なり、食べる時間を振り返ると、改善の手がかりが見つかります。

血糖値が上がりやすい食品・上がりにくい食品については、「食後に血糖値があがりやすいもの・あがりにくいもの」で解説しています。

2.運動の時間だけでなく、普段の活動量を増やす

血糖値を改善するために、毎日激しい運動をする必要はありません。

ウォーキングなどの有酸素運動や筋力トレーニングは有効ですが、普段の生活で座っている時間を減らすことも大切です。

食後に10〜15分歩く、エレベーターではなく階段を使う、買い物の際に少し多く歩く、長時間座り続けず時々立って動くといった工夫でも、積み重ねれば血糖管理に役立ちます。

以前と食事量が変わっていなくても、仕事の変化、けが、暑さや寒さなどによって活動量が減ると、血糖値が上がることがあります。体重が増えている場合は、内臓脂肪が増えてインスリンが効きにくくなっている可能性もあります。

「運動する時間を確保できない」という方は、まず食後に少し歩くことや、座りっぱなしの時間を減らすことから始めてみましょう。

歩数や時間の目安は、「【糖尿病専門医が解説】糖尿病の運動療法|歩数・時間・筋力トレーニング・食後運動の目安」をご覧ください。

3.薬を実際に使えているか、今の治療が合っているか確認する

食事や運動を頑張っていても、薬を飲み忘れる日が増えたり、注射を予定どおり打てなかったりすれば、HbA1cは上がりやすくなります。

副作用が気になって量を減らしている、外食の日は薬を使っていない、忙しい時間帯の薬を忘れやすいといったこともあります。インスリンや注射薬を使っている場合は、注射の手順や保管方法も確認が必要です。注射の手順は「インスリン注射の正しい打ち方|場所・手順・保管方法をわかりやすく解説」で解説しています。

飲み忘れや注射忘れ、自己調整があった場合も、そのまま主治医に伝えてください。薬を使いにくい理由が分かれば、服用回数や治療方法を生活に合わせて見直せることがあります。

また、2型糖尿病では、時間の経過とともにインスリンを分泌する力が低下し、以前と同じ生活、同じ治療では血糖値を十分に下げられなくなることがあります。これは必ずしも生活習慣が悪くなったからではありません。

現在は、糖尿病の治療薬にも多くの選択肢があります。血糖値だけでなく、年齢、体重、腎臓や心臓の状態、低血糖の起こりやすさなどを考えながら、その人に合った治療を選びます。薬の種類については「糖尿病の薬には何がある?種類・効果・副作用と選び方を専門医が解説」をご覧ください。

治療を変更した直後は、血糖値が改善していても、HbA1cが下がるまで少し時間がかかります。自己判断で薬を増減・中止せず、家庭血糖やCGMの結果も含めて主治医と確認しましょう。

血糖値の改善とHbA1cの変化には時間差があることを示した図。治療や生活を見直すと日々の血糖値が変わり、少し遅れてHbA1cに反映される。HbA1cは過去1〜2か月の血糖状態を反映する

4.睡眠不足・ストレス・体調・ほかの薬の影響を確認する

「食事も運動も変わっていないのに、急にHbA1cが上がった」というときは、ここ数か月の生活や体調を振り返ってみましょう。

睡眠不足や強いストレスが続くと、血糖値を上げるホルモンが増え、インスリンが効きにくくなります。風邪などの感染症、痛み、けが、手術など、体に負担がかかる状態でも血糖値は上がります。

生活リズムの変化も見逃せません。残業が増えた、夜勤が始まった、家族の介護で睡眠時間が減ったといった変化が、食事時間や活動量にも影響していることがあります。

また、ほかの病気の治療薬によって血糖値が上がる場合もあります。特に、ステロイド薬を飲み始めた、ステロイド注射を受けたといった変化があるときは、糖尿病の主治医にも伝えてください。ただし、処方された薬を自己判断で中止してはいけません。

HbA1cが悪化したときは、数字だけを見るのではなく、その期間に何が変わったのかを確認することが重要です。

補足:血糖値とHbA1cが合わないこともあります

自宅で測った血糖値やCGMの結果はそれほど高くないのに、HbA1cだけが高く出ることもあります。

HbA1cは血糖値だけでなく、赤血球の状態にも影響されます。鉄欠乏性貧血があると、実際の血糖状態より高く出ることがあります。

血糖値とHbA1cの結果が合わないときは、「自分の努力が足りない」と決めつけず、貧血や腎機能、血糖値の変動なども含めて確認します。

5.自分にとって適切な目標HbA1cを確認する

HbA1cは「低ければ低いほどよい」と思われがちですが、すべての人が同じ数値を目指すわけではありません。

日本糖尿病学会では、一般的な目安として、合併症予防のための目標をHbA1c 7.0%未満としています。食事や運動、薬物療法を無理なく行い、低血糖を起こさずに達成できる場合は6.0%未満を目指すことがあります。一方、低血糖などのために治療を強化することが難しい場合は、8.0%未満が目安になります。

糖尿病の目標HbA1cの考え方を示した図。6.0%未満は血糖正常化を目指す際の目標、7.0%未満は合併症予防のための目標、8.0%未満は治療強化が困難な際の目標。実際の目標は一人ひとり異なる

実際の目標は、年齢、糖尿病の状態、使用している薬、低血糖の危険性、合併症、認知機能、ほかの病気などを考慮して個別に決めます。特に高齢の方や低血糖を起こしやすい方では、HbA1cを下げることだけを優先すると、かえって危険な場合があります。

大切なのは、ほかの人の数値と比べることではなく、自分の目標を主治医と共有することです。「自分はHbA1cをどこまで下げた方がよいのだろう」と疑問に思ったら、診察の際に確認してみてください。

HbA1c 7.0%未満が合併症予防の目安とされる理由は、「糖尿病の3大合併症とは?網膜症・腎症・神経障害と予防のポイント」で解説しています。

HbA1cが下がらない=「頑張りが足りない」ではありません

HbA1cが上がる理由は一つではありません。食事や活動量だけでなく、薬、睡眠、ストレス、体調、糖尿病そのものの変化など、複数の要因が関係します。血糖値とHbA1cが一致しないときには、貧血など別の原因を確認することもあります。

大切なのは、「もっと我慢しなければ」と考えることではなく、なぜ今の数値になっているのかを整理することです。生活習慣だけでなく、現在の治療や目標値を見直すことで、改善の糸口が見つかります。

糖尿病治療の目的は、HbA1cという数字を下げること自体ではありません。数値に踊らされすぎずに合併症を防ぎながら、糖尿病があっても楽しく生活することが本当の目標です。

とはいえHbA1cがなかなか下がらないときは、一人で悩まず主治医に相談してください。

参考文献


この記事の執筆・監修者

高崎市の乾小児科内科医院 院長 乾恵輔

乾 恵輔(いぬい けいすけ) 乾小児科内科医院 院長

【保有資格】

  • 日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医
  • 日本循環器学会認定 循環器専門医
  • 日本内科学会認定 総合内科専門医

院長よりメッセージ: HbA1cが下がらない理由は人それぞれです。食事や薬の使い方、生活の変化を一緒に振り返りながら、無理なく続けられる治療を考えていきましょう。


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HbA1cがなかなか改善しない方、今の治療が自分に合っているか相談したい方は、当院の糖尿病内科へご相談ください。食事や生活のリズム、薬の使い方をうかがったうえで、下がらない理由を一緒に整理します。

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