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「理想的なBMIは22」は本当?その理由とは

最高気温が30℃を超える日が続き、薄着になる機会も増えてきました。薄着になると冬場は服の下に隠れていたお肉が気になる方も少なくないはず。

個人的には、今月から生活習慣病の方の指導方法が変わりBMIを測定する機会が増えたことで、思った以上に肥満の方が多いことを実感しています。

肥満・メタボは生活習慣病をはじめ、さまざまな病気の原因となり得るため予防・改善が重要です。今回は肥満度の指標であるBMIを交えながら考えていきたいと思います。

BMIとは?

BMIはBody Mass Index(ボディ・マス・インデックス)の略で身長と体重から計算する、肥満度を表す数値のことです。

厳密に肥満度を評価するには体脂肪率の評価が必要になります。しかし特殊な器具が必要になるため、身長と体重さえ測れば簡単に計算できるBMIが広く用いられています。

多くの方が健康診断などでBMIを目にしたことがあるのではないでしょうか。

BMIの計算方法

BMIは、以下の計算式を使って体重と身長から計算します。

【BMI=体重(kg)÷身長(m)÷ 身長(m)】

例えば、身長150cmで体重50kgの場合は「50kg÷1.5÷1.5=22.2222…」でBMIは22となり、日本肥満学会が定める肥満度判定基準では、普通体重であることがわかります。

なお、適正値とされる「BMI22」の数値を利用して、身長から標準的な体重を計算することも可能です。

標準体重は、以下の方法で計算します。

【標準体重 = 身長(m)× 身長(m)× 22】

厚生労働省が公表する「令和元年 国民健康・栄養調査報告」によれば、20歳以上の日本人女性の平均身長は154.3cmとなっています。これを上の式に当てはめると「1.543×1.543×22=52.3786…」となり、約52kgが標準的な体重になります。

厚生労働省のサイトには、身長と体重を入力するだけでBMIを計算してくれる「BMIチェックツール」があり、肥満度が簡単に判定できます。計算するのが面倒な場合は、このようなツールを使ってBMI値を確認することもできます。

厚生労働省e-ヘルスネット「BMIチェックツール」

BMIの判定基準

BMIは肥満度を表す指標として国際的に使われます。肥満の基準は国によって異なりますが、日本では「日本肥満学会が定める肥満度判定基準」が主に使用されています。

【日本肥満学会が定める肥満度判定基準】

BMI判定
〜18.5未満低体重(痩せ型)
18.5以上25未満普通体重
25以上30未満肥満(1度)
30以上35未満肥満(2度)
35以上40未満高度肥満肥満(3度)
40以上肥満(4度)

BMIの平均値

厚生労働省が公表する「令和元年 国民健康・栄養調査報告」によれば、日本人の平均BMIは以下のようになっています。

年齢平均BMI(男性)平均BMI(女性)
15〜19歳21.120.2
20〜29歳22.921.0
30〜39歳23.721.7
40〜49歳24.722.3
50〜59歳24.622.4
60〜69歳24.023.1
70歳以上23.422.9

女性のBMIは徐々に上がる傾向。60代でBMIがピークに

女性のBMIは徐々に上がる傾向。60代でBMIがピークに 女性の場合、若い人ほど健康的な標準体重とされるBMI22より低くなる傾向があり、最も低いBMIの平均値は15~19歳で20.2。BMI値は年齢を重ねるとともに高くなり、もっとも肥満の基準値に近い世代は60~69歳でBMIの平均値は23.1になります。

女性は、更年期の年代になると太りやすくなります。理由は主に「加齢に伴う筋肉量の減少」と「女性ホルモンであるエストロゲン減少の影響」です。

筋肉量が低下すると、基礎代謝量(まったく動かない状態で消費されるカロリーのこと)が減少するため、消費されるカロリー量が減って、太りやすくなります。 また、女性ホルモンのエストロゲンは、脂質代謝に関連するホルモンです。そのため、エストロゲンが減少すると内臓脂肪型肥満になりやすくなるといわれています。

このような理由から、それまでは22台だったBMIの数値が60〜69歳では23台へ上がると考えられます。

男性のBMIは40代・50代でピーク、その後減少傾向に

男性の場合は、30歳を過ぎると肥満基準値のBMI25に近づく傾向がみられます。BMIがもっとも高くなるのは40~49歳で24.7。50~59歳はほぼ横ばいの24.6。60~69歳では24になり、老年期になると減少傾向に転じます。

男性は職場等での外食や飲酒の機会が増える現役世代で「中年太り」が生じ最もBMIが高くなる傾向にあります。

BMI22は健診に最も引っかからない

一般的に理想的なBMIは22といわれますが、これは30~59歳の日本人男女およそ5000人の健康診断の結果を調べた研究で、BMI22が最も異常値が少なかったことに由来しています。

確かにこのグラフを見るとBMI22あたりの疾病合併数が男女とも低くなっています。

ただし、この研究の対象者は30~59歳の中年男女で、若い人や高齢者は含まれていません。また、この研究の検査項目は肺疾患、心疾患、上部消化管疾患、高血圧、腎疾患、肝疾患、脂質異常症、高尿酸血症、糖尿病、貧血の10項目で、命に関わる大きな病気である「がん」が入っていません。

さらに30年以上前のデータですので、この結果をもってBMI22が一律どの年代でも理想値である、とは言い切れないでしょう。

高齢者の場合、肥満よりやせが危険

BMIと死亡率の関連を調べた研究は国内外にいろいろあり、最も死亡率が低いBMIは年齢によって異なることが分かっています。以下は、40~79歳の日本人男性約3万人、女性約6万人の肥満度と死亡率の関係を10年間にわたって調べた研究*1の結果です。

研究開始時の年齢死亡率の最も低いBMI
男性女性
40〜49歳23.621.6
50〜59歳23.421.6
60〜69歳25.122.6
70〜79歳25.524.1

死亡率が最も低いBMIは、女性は40~50代では約22。男性は40代で約24、50代で約23。60歳を境に男女ともに数字が上がっています。

高齢になってくるとある程度BMIが高い方が長生きする、ということが言えるわけです。

高齢者はフレイルの有無でBMIの解釈が変わってくる

フレイルとは加齢とともに心身の活力が衰えた状態のことを指します。フレイルの状態になると、死亡率の上昇や身体能力の低下が起きます。また、病気にかかりやすくなったり、入院になったりしてしまうなど、ストレスに弱い状態になっています。

65歳以上の地域在住日本人高齢者1万912人を対象に、BMIと死亡との量反応関係を検討した研究から、フレイルの有無によって死亡リスクが最も低くなる最適なBMIが異なることが明らかになっています*2

この研究ではBMIを評価してから中央値で5.3年間の追跡調査を行い、死亡の発生状況を確認しています。追跡期間中に1,352人が死亡。本研究の高齢者全体のフレイル該当割合は43.7%でした。

普通体重であるBMI21.5~24.9の群と比較してBMI18.5未満の群は、フレイルおよびフレイルでない高齢者どちらにおいても生存率が有意に低い(死亡率が高い)ことが示されています。

さらにBMIと死亡イベントの量反応関係をフレイルの有無によって層別分析を行ったところ、フレイルの高齢者では、BMIが高ければ高いほど死亡リスクが大きく下がりました。

一方、フレイルでない高齢者では、BMIが23.0~24.0で最も死亡リスクが低い値になることがわかりました。

これらのことから、高齢者においてはフレイルの有無によってBMIと死亡リスクの関係が大きく異なり、フレイルの人はフレイルでない人に比べて、BMIが高いことで死亡リスクの低下による恩恵を受ける可能性があります。

若いうちは生活習慣病予防のために太らない生活習慣が重要ですが、高齢になってくると生活習慣予防以上にフレイル予防が重要になってくるため、しっかり食べることも重要とも言えます。

年齢ごとに異なる目標BMI

厚生労働省が発表している食事摂取基準2020では以下のように18歳以上では目標とするBMIの範囲を年齢ごとに定めています。

年齢(歳)目標とするBMI
18〜4918.5-24.9
50〜6920.0-24.9
70以上21.5-24.9

肥満のBMIの上限は各年齢とも同じですが、低い基準は年齢ごとで異なります。特に高齢者では、フレイル(虚弱)の予防と生活習慣病の予防の両方を配慮し、BMI21.5以上が目標となっています。

この範囲からBMIがはみ出す人は、まずは範囲内を目指しましょう。範囲内に収まっている人は、体重や体重がもととなるいろいろな健康障害が起こる確率は低いということですから、体重を増減させるよりも、喫煙、運動不足、お酒の飲み過ぎといった生活習慣を見直すことを考えるのがよいでしょう。

*1 Matsuo T, et al. Obesity. 2008;16(10):2348-55.

*2 Daisuke W, et al. Clin Nutr. 2024 Feb;43(2):494-502