思いたったが吉日:禁煙のススメ
やめようとは思っているものの、なかなかやめられない。何度かやめたことがあるがお酒の席ですすめられ、1本だけのつもりが気ついたら以前のように吸うようになっていた…。
タバコがからだに悪いとわかっていてもなかなかやめられない方は少なくありません。
また、家族に何度も禁煙をすすめられても、ご本人がなかなか決意できないこともしばしばお見受けします。
今回はなぜ禁煙が難しいか、禁煙のコツについてまとめていきたいと思います。
日本の喫煙率は低下傾向ではあるものの…
厚生労働省「国民健康・栄養調査」によると、現在習慣的に喫煙している人の割合は全体で16.7%、男性27.1%、女性7.6%でした。この10年間で、いずれも減少でした。
年代別にみると、年齢別にみると、30〜60歳代の男性で特に喫煙率が高く、3割を超えていました。
これに対し、成人女性の平均喫煙率は7.6%であり、以前より漸減しているものの、ここ最近はほぼ横ばいといった状況です。喫煙率が一番高い年代は50歳代の12.9%、最低は70歳以上の3.0%でした。
なぜタバコはやめられないか
先ほどの厚労省の調査によれば、現在習慣的に喫煙している人のうち、たばこをやめたいと思う人の割合は26.1%(男性 24.6%、女性 30.9%)であり、喫煙者のおよそ4人に1人はタバコをやめたいと思っていることになります。
しかし、喫煙しはじめると習慣になり、なかなかやめられなくなります。それは、たばこの主成分であるニコチンに強い依存性があるからです。
タバコを吸うと、血液中のニコチン濃度が急激に上がります。ニコチンの濃度がピークに達している間に「タバコがおいしい」という感覚が生まれます。この「おいしさ」に精神的に依存し、いつまでも「おいしさ」を求めるようになります。これを精神的依存と呼びます。
逆に、血液中のニコチン濃度が低くなると、落ち着きのなさ、欲求不満、不安、集中困難などの禁断症状が起こり、ニコチンが欲しくなります。これを身体的依存と呼びます。
結果として喫煙者は毎日、喫煙本数の回数分、軽い禁断症状と回復を繰り返していることになります。
ニコチン依存度はどれくらい?
ニコチン依存度は個人個人で異なります。下のチェックリストでニコチン依存症の自己診断をしてみましょう。依存度の高い人は禁断症状が起こりやすく、たばこをやめにくい、依存度の低い人は禁断症状が起こりにくく、たばこを比較的やめやすいといわれています。
タバコを吸うとどんな害がある?
タバコの煙には、200種類以上の有害物質が含まれており、依存性の強いニコチンやタール、一酸化炭素がよく知られています。これらは「3大有害物質」と呼ぶこともあります。
ほかにも、50種類以上の発がん性物質が含まれており、さまざまながんを発症するリスクが高まります。 肺がんによる死亡の危険性は非喫煙者の約4.5倍、咽頭がんは約32.5倍にも及ぶということが分かっています。
また、がんの発症だけでなく、心臓や血管系にも悪影響を及ぼします。過去の研究から喫煙者では、脳卒中や心筋梗塞、狭心症などのリスクが高まることがわかっています。
タバコを吸う人の死亡率は、男性で1.6倍、女性で1.9倍
40〜59歳の男女約4万人を対象に、たばこを吸ったことがない人、むかし吸っていたけど止めた人、吸っている人の3グループで、 10年間の死亡率を比べた研究があります。

その結果、たばこを吸う人の死亡率は、吸ったことがない人と比べて、男性では 1.6倍、女性では1.9倍と高いことがわかりました。
死亡原因ごとにみると、たばこを吸う人の死亡率は、がん(男性 1.6倍、女性1.8倍)、心臓病や脳卒中などの循環器疾患(男性1.4倍、女性2.7倍)、その他の死因(男性1.6倍、女性1.4倍)のいずれでも高くなっていました。一方、たばこを止めた人の死亡率は、全死因、がん、循環器疾患のいずれでみても、吸ったことがない人との差は認められませんでした。
今からたばこをやめても遅くない
この調査では、タバコを止めた人の死亡率は、もともと吸わない人の死亡率と同程度という結果でした。
タバコをやめた人のリスクが、もともと吸わない人と同じところまで下がるのに必要な時間は、病気によって差があります。肺がんの場合20年くらいかかりますが、心筋梗塞の場合、やめた直後からはっきりとリスクが下がることが知られています。
思い立ったが吉日。今からでも決して遅くありませんので、禁煙を考えてみてはいかがでしょうか。
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