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肺炎球菌ワクチンで防げる肺炎、防げない肺炎

2018.12.07

乾小児科内科

 
 
K先生
こんにちは。Kです。先日、母に肺炎球菌ワクチンの定期接種の案内が届き、若いと思っていた母も少し年を取ったな、としみじみしました。
 
 
 

さて、肺炎は昨年、厚生労働省から発表された統計データによれば日本人における死因の第5位で全体の7.2%を占めており、高齢者人口の増加により今後ますます増える可能性があります。
肺炎球菌ワクチンとはどういったものか、肺炎球菌ワクチンで防げる肺炎、防げない肺炎とその理由についてご紹介したいと思います。

 
 
1.肺炎球菌ってなに?

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1-1.肺炎を引き起こす原因菌で一番多い

肺炎の原因として最も多いのが病原微生物の感染で、その中で最も多い細菌が肺炎球菌です。肺炎球菌は、莢膜(きょうまく)という分厚い膜に包まれています。

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この膜がバリアーの役割を果たすため、からだの免疫からの攻撃に強く、退治するのが難しい細菌です。最近では、抗菌薬(抗生物質)が効かない耐性菌も登場しており、危険な感染症です。

 

1-2.肺炎球菌はどこにいる?

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肺炎球菌は、主に気道の分泌物に含まれ、唾液などを通じて感染します。多くの子供、高齢者の約3-5%では鼻や喉の奥へ肺炎球菌が住みついており、咳やくしゃみで周囲に飛び散り、それを吸い込んだ人へと広がっていきます。子供と接触する機会がある方は、特に予防が大切です。

 

1-3.高齢者の肺炎は症状が出にくく、進行が早い

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肺炎というと発熱や咳、痰などの症状が出るイメージがありますが、高齢になると、免疫機能が低下し、菌を倒すために熱を出す力、咳や痰を出す機能が弱くなります。肺炎になっても熱が上がらず、咳やたんなどの症状があまりみられないことから、発見が遅れてしまうことがあります。

また進行が早いのも高齢者の特徴。脱水症状や栄養不足になりやすいため、若い方と比べてひどくなりやすいです。
元気がない、口数が少ない、など、いつもと様子が違ったら、周囲の人が「肺炎かも?」と疑って、早めに受診することが重症化を防ぐ第一歩です。

 

1-4.肺炎がきっかけで健康寿命が縮む!?

肺炎がきっかけで長期間寝込んでしまったり、入院して療養が必要になったりすると、足腰の筋力が低下することがあります。また、認知症になる可能性もあります。

肺炎がきっかけで、結果として、寝たきりになってしまったり、認知症が進行したりすることで健康寿命が縮まることもあるのです。

 
2.肺炎球菌ワクチンとは

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肺炎球菌ワクチンは肺炎球菌によって起こる肺炎を予防するためのワクチンで、23価ワクチンと13価ワクチンの2種類があります。

肺炎球菌には93種類の血清型があります。
23価ワクチンは、23種類の肺炎球菌に対して、
13価ワクチンは、13種類の肺炎球菌に対して、効果があります。

両方のワクチンとも接種するとより高い予防効果が得られると考えられていますが、定期接種で用いられているのは23価ワクチンのみになります。

K先生
ちなみに小児に使用しているのは13価ワクチンです。
 

2-1.ワクチンのしくみ

細菌やウイルスに感染すると、その病原体に対する抵抗力が体内に生まれます。この仕組みをいかしたものがワクチンです。病原体の毒性を弱めたり、無毒化したりしたものを接種したりすることにより、実際に病気にかからなくても、その病原体に対する免疫をつくることができます。

あらかじめ免疫をつけることで、病原体が体内に入っても、発症しなかったり、重症になったりしないですむのです。

 

2-2.予防効果

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肺炎球菌には表面の型によって93種類ありますが、ワクチンがカバーしているのは13または23種類だけです。それでも、約85%をカバーし有効であると言われています。

定期接種で使用されている23価ワクチンの効果を検討した研究*では全ての肺炎球菌を原因とする肺炎全体で27.4%、ワクチン株を含む肺炎球菌による肺炎で33.5%と報告されています。
*Suzuki M, et al., Lancet Infect Dis 17(3): 313-321, 2017

 

2-3.どんな方が特に接種するべきか

65歳以上の高齢者になると肺炎を起こしやすくなることから接種が特に推奨されています。2014年から高齢者への肺炎球菌ワクチンが定期接種となりました。
この定期接種制度は2019年3月31日までの時限措置とされており、来年度以降の制度に関しては現時点(2018年12月6日)では発表されていません。
定期接種の対象となるのは、該当する年度に65歳、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳、100歳となる方で、いままで成人用肺炎球菌ワクチンを接種したことがない方です。それ以外の方は、対象年齢まで待つか、公費補助のない「任意接種」となります。

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また、心筋梗塞や狭心症などの心臓の病気、喘息やCOPDなどの呼吸器の病気、腎臓病などの持病がある方もリスクが高いため、接種を推奨されています。

 

2-4.接種方法(時期、場所、費用)

(1)時期 肺炎は、季節を問わず1年を通してかかる可能性があることからいつ接種しても問題ありません。定期接種が受けられる65歳で接種するのがいいでしょう。ワクチンの効果は5年で低下することが知られていますので、その後も5年おきに自費で接種するのが理想的です。

(2)場所 各自治体の指定する医療機関で接種することができ、自治体のホームページに公開されていることが多いです。接種は予約制をとっている医療機関も多いため、事前に確認するとよいでしょう。

(3)費用 定期接種に関しては対象年齢で初回の場合、補助が受けられますが、お住いの自治体によって異なる場合がありますので、詳細は、各自治体へお問い合わせください。

 

2-5.副作用

接種した部位が赤くなったり、腫れたり、熱を持ったり、痛みがでたりすることがありますが、通常5日以内には治まります。 そのほか、頭痛、わきの痛み、かゆみ、だるさなどがでることがあります。

 
3.肺炎球菌ワクチンで防げない肺炎

ワクチンで予防効果が期待できる肺炎は、肺炎球菌が原因の肺炎で全体の3割程度。残りはワクチンで防げない肺炎、ということになります。
実は、高齢者に起こる肺炎の多くは誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)です。

食べ物が食道ではなく気管に入ってしまった場合、通常はむせて気管から押し出す反射が働きます。
しかし、この機能が鈍ってしまうと、気管に入り込んでしまった食べ物を押し出すことができず、結果として肺炎を起こすことがあります。

このように、食べ物や唾液などが、気管に入ってしまうことを誤嚥(ごえん)といい、誤嚥が原因で起こる肺炎を誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)といいます。

 
4.高齢者の肺炎予防法

高齢者の肺炎を防ぐには、口の中を清潔に保つこと、調理の工夫、食後の姿勢が重要です。

 

4-1.口の中を清潔に

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口の中は雑菌が多く、病原微生物が繁殖しやすいため、常に清潔にしておくことが重要です。外から帰ったときと寝る前には口の中をすすぎ、毎食後と寝る前には歯みがきをしましょう。

 

4-2.調理の工夫

飲み込む力の落ちている方は、食べ物を小さくかみ砕くことができずに誤嚥を起こしやすくなるため、食材は一口サイズに切って、ゆっくり食べることが大切です。

また、食べ物や飲み物が喉に流れ込むスピードがはやいと飲み込みのタイミングが合わずむせてしまうことがあるため、カタクリ粉や市販のとろみ剤などでとろみをつけるとよいでしょう。

 

4-3.食後の姿勢

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食後すぐに横になると、食べ残しや唾液を誤嚥しやすくなります。食後は、少なくとも1時間、できれば2時間以上あけてから寝るのが望ましいです。

また朝起きると口の中が酸っぱく感じたり、「胸焼け」がしたりする場合には、胃酸が逆流している可能性があります。

枕を高くして、背中にクッションをしき、少し頭の方を高くして寝るとよいでしょう。

 
5.まとめ

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・肺炎の原因で一番多い肺炎球菌にワクチンは有効
・自治体から案内がきたら接種、以後5年ごとに接種を
・高齢者の死亡原因で多い、誤嚥性肺炎には無効
・ワクチン以外の予防法も重要

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