家での血圧は正常なのに、病院で測るといつも血圧が高い方がいます。これを白衣高血圧といいます。
白衣高血圧のある方は、健康診断では高血圧といわれたりしていますが、通常の高血圧と同じようにリスクがあるのでしょうか。
今回は白衣高血圧についてまとめていきたいと思います。
白衣高血圧とは
白衣高血圧は、診察室で測定した血圧が高血圧(≧140/90mmHg)で、診察室外血圧では高血圧を示さない状態をいいます。
病院に来ている緊張感などのストレスによる血圧上昇は白衣現象と呼ばれ、その影響の強さは診察室血圧から診療室外血圧を引いて計算します。
白衣高血圧症の頻度は意外と高く、診療室血圧で 140/90mmHg以上の高血圧と診断された方の15-30%が該当し、特に高齢者で増加します。
血圧の4つの分類
高血圧の診断は、診察室の血圧だけでなく、診察室の外(基本的には家庭)での血圧も用いて4つに分類されます。
非高血圧、仮面高血圧、持続性高血圧、そして、白衣高血圧です。
仮面高血圧は、白衣高血圧の「逆」とでもいう状態で、診察室血圧は正常であっても、診察室外の血圧は高血圧を示す状態です。
アルコール 、喫煙、職場・家庭での精神的ストレス、身体的ストレス、自律神経障害、睡眠時無呼吸症候群、脳血管障害など、様々な要因から起こります。
血圧は診察室だけでは語れない
上記の話を踏まえると、診察室血圧だけで、どの高血圧に該当するのかを判断するのは難しく、診察室外で血圧を測定する意義が大きいことが理解できるかと思います。
血圧は1日の中でも変動があり、また測定環境によっても数値が異なることから、診察室だけでなく、家庭でも定期的に血圧を測定することが重要です。
夜間の血圧など詳細な評価を行い場合には、24時間血圧測定を行うこともあります。
白衣高血圧はリスクになる?
従来、白衣高血圧は、診察室血圧も診察室外血圧も高い、持続性高血圧と比べて、臓器障害は軽度で、脳卒中や心筋梗塞、狭心症などのリスクも低い、と報告されています。
しかし、全く高血圧がない方と比べると、将来的に脳や心臓の血管病を起こすリスクは高いといわれており、注意が必要です。
合併症がない場合には、一般的に治療は必要ありません。
しかし、高血圧を発症した際に早期発見ができるよう家庭血圧や定期的な健診などを含めた経過観察を行い、血圧が上昇してくるようであれば、早めの受診を心がけましょう。
自宅に血圧計がないという方は職場や薬局、スーパー、スポーツクラブなど血圧計を設置している施設などで、可能な範囲でまず血圧を測定してみるとよいでしょう。
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