寒い日が続くこの季節。お風呂や温泉が楽しみになる方は多いのではないでしょうか。ゆったりと湯船につかり、心も体も温まるとちょっぴり幸せな気分なるのは私だけではないと思います。
一方で、入浴中に亡くなる方は年間およそ1万9000人とされ、交通事故で亡くなる方の4倍以上となっています。
この原因がヒートショックです。
今回はヒートショックとその対策についてまとめていきたいと思います。
ヒートショックは、暖かい室内から寒い廊下やトイレに移動したり、寒い脱衣所で着替えた後、温かい湯船につかったりするなど、急激な温度変化によって血圧が大きく変動することで起こります。
人の体は寒さを感じると、血管が収縮して血圧が上がります。そのため、暖かい場所から寒い場所に入ると、血圧が急激に上昇します。そして血圧が上昇した状態で熱めの湯船に浸かると、血管が広がり、今度は血圧が急激に下がります。
この血圧の急激な変化により、心筋梗塞、危険な不整脈、脳梗塞や脳出血などが起こりやすくなるのです。
「東京都23区における入浴中の事故死(平成20-29年)」によれば、事故が増えるのは12月から2月の寒い時期で、最も少ないのが8月の37人、最も多いのが1月の236人であることから、冬場は特に注意が必要です。
2014年の厚生労働省人口統計動態によると、家庭の翼足における溺死者のうち、65歳以上の高齢者が約9割を占め、特に75歳以上で増えていました。また、入浴習慣のある日本では欧米に比べ家庭の浴槽における溺死者数が多いことも知られています。
以下の項目に当てはまるものが多いほど、リスクが高く、ヒートショックに注意が必要です。
ヒートショック予報は、東京ガスと日本気象協会が共同開発したツールです。
日本気象協会が運営する天気予報専門メディア「tenki.jp」で全国の市区町村ごと約1,900地点の7日先までの「ヒートショック予報」を提供しています。(パソコン・スマートフォンから閲覧可能)
ヒートショック予報では、「警戒」「注意」「油断禁物」の3ランクがあり、特にヒートショックのリスクが大きいと考えられる気象条件下で「警戒」が出現します。
「警戒」時、一日の気温差が大きい場合や冷え込みが予想される場合には、入浴時だけでなく、日常生活全般で気温の変化に注意して対策するといいでしょう。
ヒートショックを防ぐには、どのような対策が有効なのでしょうか。安全に入浴するための7つのポイントをご紹介します。
濱松晶彦,他:日常生活事故を科学する浴室内の事故,監察医の目線から.第44回建築人間工学 研究会,2005より2005より改変
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