認知症講習会で印象に残った2つの話|高崎市 乾小児科内科医院|アレルギー科・循環器内科(心臓血管内科)

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認知症講習会で印象に残った2つの話

2020.01.28

認知症講習会で印象に残った2つの話

 
 

土曜日の診療が終わった午後の時間を利用して、2週連続で高崎市医師会の主催する「かかりつけ医認知症対応力向上研修」を受講してきました。

認知症に関する医学的な知識のおさらいや制度的な状況の解説など盛りだくさんのレクチャーで、これはこれでもちろん勉強になったのですが、私の頭に最も焼きついたのは

①「症状が進行してしまったアルツハイマー型認知症患者さんにいつまで薬を続けるのが正解なのか」

②「交通の便が悪い地域に住む高齢者認知症の方の免許返納をどう考えるか」

という2つの質疑応答でした。

①の質問背景を少しだけ説明しておきますと、

現在のアルツハイマー型認知症の治療薬は病気の進行を遅らせる効果はあるものの(特に初期)、ある程度進行してしまったものを元に戻すような効果は残念ながらありません。

また、病気自体は根本的な治療がないため徐々に進行し、最終的にはかなり認知機能が低下した状態になることも少なくありません。そのため、いつまで薬を続けるのがベストなのか、という難しい判断を迫られる(考えもしないと漫然と不要かもしれない薬を処方し続けることになってしまう)のです。

絶対的な正解はない話だと思いますが、以前から同じ疑問を持っていた自分としては、みなさん似たようなことで頭を悩ませているのだな、と思いました。

 
①「症状が進行してしまったアルツハイマー型認知症患者さんにいつまで薬を続けるのが正解なのか」

認知症講習会で印象に残った2つの話

壇上の先生の回答は、
自分としては自力で歩けなくなった患者さんには家族には「そろそろ薬をやめてもいいのではないか」と提案してする。

―ただし、薬を中止する=治療を諦める≒ご家族としては患者さんを見捨てるような感覚 と感じて薬はやめないでほしい、と言われることもよくあり、その場合は続けるようにしている。

別の先生は、使用している薬の内容や他の病気の状態、家族のサポート状況などが十人十色なので一概には言えない。個別の状況にあわせて判断している。

とのことでした。

自力で十分な判断が難しくなっている認知症患者さんでは、ご家族の想いに寄り添いながら治療していくことが大事かな、と思っているので同感でした。

 
②「交通の便が悪い地域に住む高齢者認知症の方の免許返納はどう考えるか」

認知症講習会で印象に残った2つの話

壇上の先生のクリニックがある地域ではバスが半日に1本程度しかなく、文字通り車は重要なライフラインとなっているそうです。

高崎は、それに比べれば多少は恵まれているものの、至る所に電車もバスもタクシーも走っている都内と比べれば車の必要性は段違いで、今後さらに高齢化が進んでいく中でますます重要になっていく課題だと思います。

軽度の認知症があっても、判断能力が保たれていれば「運転するのは行き慣れた場所に、昼間だけにしてくださいね」と認めているとの返答でした。

認知症ドライバーが起こしてしまった事故は大きな社会問題になりましたが、一方で年齢を基準として画一的に高齢者から免許を剥奪すればよいといった単純な話でもなく、よりよいルールを考えていく必要があります。

高齢化がますます進行するこの国で本当に重要かつ深刻なこの問題には、行政と企業が協力し、いままさに対策が進んでいます。

AIを応用し過疎地域を低コストで周回するバスやアプリを使って効率化を進めた乗り合いタクシーなど、いろいろな試みはなされているものの、まだまだシステムは発展途上です。

いち医療者として、この大きな命題にできることは限られていますが、悶々と考え込んでしまいました。

認知症のレクチャー自体よりもこの正解のない問答が頭から離れません。

 

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