注射薬のジェネリック??バイオ後続品(バイオシミラー)について|高崎市 乾小児科内科医院|アレルギー科・循環器内科(心臓血管内科)

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注射薬のジェネリック??バイオ後続品(バイオシミラー)について

2020.12.11

注射薬のジェネリック??バイオ後続品(バイオシミラー)について

 
 

ジェネリック医薬品は、特許が切れた先発医薬品を同じ有効成分で作った薬ですが、先発品と比べて低価格なこともあり、使用している方も年々増えています。

2020年上四半期のジェネリック(GE)医薬品の数量シェア=[GE医薬品の数量]/[GE医薬品のある先発医薬品の数量+GE医薬品の数量]では79.3%と広く普及していることがわかります。

バイオ後続品は、注射薬のジェネリックとでもいうべき薬ですが、あまり聞き覚えのない方も多いかと思います。

今回は、バイオ後続品についてまとめていきたいと思います。

 

バイオ医薬品とは

バイオ医薬品とは遺伝子組換え、細胞培養などのバイオテクノロジーを応用して製造されたホルモン、酵素、抗体などのタンパク質を有効成分とする医薬品です。

バイオ医薬品は、様々な薬品を化学反応させて作る、一般的な医薬品と違い、生物の力を利用して作ります。

生物の力を使って何を作っているかというとタンパク質です。タンパク質の働きは「臓器や筋肉」だけでなく、「ホルモン、酵素、抗体など」の材料にもなっています。

ところがタンパク質は、非常に複雑な構造をしているため、薬品を化学反応させて作るのが難しいです。そのため、生物の力を使って、複雑な構造のタンパク質を作っているのです。

バイオ医薬品は経口投与しても、体内の消化酵素の作用により分解されてしまうため、タンパク質構造が維持できず、薬の効果を十分に発揮できません。

そのため一般的に、注射剤として静脈、筋肉、皮下などに直接投与するか、もしくは点滴として静脈に投与します。

代表的なバイオ医薬品として、インスリン、エリスロポエチン、インターロイキン、インターフェロンなどがあります。

 

今まで治療が難しかった病気への効果が期待されている

バイオ医薬品は、がん、糖尿病、関節リウマチ、肝炎、腎性貧血、血友病、低身長、クローン病、多発性硬化症などで使用されています。

医学の進歩に伴い、次々と新たなバイオ医薬品が登場し、従来の薬では治療が難しかった病気の治療に役立っています。

例えば、2018年のノーベル医学・生理学賞を受賞した本庶佑・京都大学特別教授は、PD-1というタンパク質が免疫細胞の「ブレーキ」であることを発見。

後に、がん細胞がPD-1にはたらきかけて免疫細胞に「ブレーキ」をかけ、攻撃されないようにしていることがわかりました。

この発見をもとに、がん細胞がPD-1に働きかけることを防ぎ、再び免疫が働くようにして、人の体が本来持っている免疫でがん細胞を攻撃させる新しいタイプの治療薬が開発されました。

この治療薬もバイオ医薬品の1つとして多くの患者さんに使用されています。

 

バイオ後続品とは

バイオ後続品とは、先発のバイオ医薬品の特許が切れた後に発売される後発のバイオ医薬品のことをいいます。

バイオ後続品は海外ではバイオシミラーとも呼ばれています。シミラーとは英語で「類似」を意味する言葉ですので、先発品に類似したバイオ医薬品という意味になります。

 

バイオ後続品は作るのが大変!?

注射薬のジェネリック??バイオ後続品(バイオシミラー)について

バイオ医薬品は、分子量が非常に大きく、構造が複雑なため、化学合成は困難です。

バイオ医薬品の製造には、培養条件などの変化に敏感な微生物や動物細胞などを使い、これらの状態により生産物が変わる可能性があるため、厳密な製造工程の管理が求められます。

また、化学合成で製造される一般的な医薬品とは異なり、バイオ医薬品は微生物や細胞の中で起こる生合成反応を製造に利用しているため、製造ロット間で品質にバラツキが生じます。

バイオ医薬品は一般の医薬品よりもつくるのが大変で、後発品の製造も難易度が高いのです。

 

バイオシミラー=先行バイオ医薬品ではない

先ほど説明した通り、バイオ医薬品は、構造が複雑なタンパク質でできているため、先発品と全く同じ薬を作ることは極めて困難です。

しかし、先行バイオ医薬品と同等の有効性(効き目)と同等の安全性を持つ薬は製造できます。

つまり、バイオシミラーとは、先行バイオ医薬品と高い類似性を持った薬のことなのです。

この類似性を確認するために、ジェネリック医薬品よりも非常に多くの試験を行い、同等の有効性・安全性であることを確かめています。

こうして、先行バイオ医薬品との同等性/同質性が担保されたバイオシミラーが医療現場に提供されています。

 

世界売上高トップ20のうち13品目がバイオ医薬品

注射薬のジェネリック??バイオ後続品(バイオシミラー)について

上のグラフは、2019年における世界の医療用医薬品売上高トップです。関節リウマチ、糖尿病、がん、不整脈、喘息などの治療薬が並んでいます。

赤丸がついているバイオ医薬品なのですが、トップ20薬品のうち半数以上の13薬品を占めています。

バイオ医薬品は、開発、製造、管理などにコストがかかる分、薬価も高額になることが多く、売上高上位に多数の薬剤が占める一因となっています。

バイオシミラーは、先発品に対して概ね7割程度の薬価となっています。

バイオ医薬品は従来薬で治療が困難な病気に効果を発揮するなど、重要な役割を果たしている反面、高額な薬剤費で医療費を圧迫しているという一面もあります。

バイオシミラーが普及することで、患者さんの負担が軽減されるとともに、高騰する医療費抑制の一翼を担う可能性が期待されます。

 

© 2020 Inui pediatrics and internal medicine clinic

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