降圧薬(高血圧のお薬)の種類と使い分けについて|高崎市 乾小児科内科医院|アレルギー科・循環器内科(心臓血管内科)

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降圧薬(高血圧のお薬)の種類と使い分けについて

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血圧が高く、食事療法を含めた生活習慣の見直しを図っても十分な改善が得られなかった場合はお薬を使って治療をしていくことになります。

高血圧の患者さんはとても多く、何種類かのお薬を組み合わせないと十分なコントロールが得られないこともあるため、たくさんのお薬があります。

今回は、降圧薬の使い分けについてまとめていきたいと思います。

 
降圧薬は主に3タイプある

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血圧を下げる薬には、大きく分けて血管を広げることで血圧を下げるタイプと、血液の量を減らして血圧を下げるタイプ、交感神経の過剰な働きを抑えて血圧を下げるタイプの3タイプがあります。

血管を広げる薬には、カルシウム拮抗薬やARB、ACE阻害薬などがあり、血液の量を減らす薬には、利尿薬が、交感神経の過剰な働きを抑える薬にはβ遮断薬があります。

 
まずはカルシウム拮抗薬かARBから開始することが多い

降圧薬は、それぞれの病気に合わせてこの薬を積極的に使用するべき、というケースや逆にこの薬は使わない方がよい、というケースがあります。

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積極的に使ったほうがいい薬剤がある方に関してはその薬を中心に使用を検討しますが、積極的に使う薬がないケースでは、まずはカルシウム拮抗薬かARB(もしくはACE 阻害薬)を開始することが多いです。副作用が少なく、確実な降圧効果が期待できるからです。

また、投与量に比例して副作用が出やすくなる薬もあることから、少量から始め、血圧を見ながら必要に応じて少しずつ投与量を増やしていくのが一般的です。

特に血圧調節機能が弱まってしまっている高齢者に対しては、急激に血圧を下げずに、何ヶ月かかけて段階的に降圧目標を達成できるように調整を行っていくことが重要です。

 
降圧薬の併用

単剤、少量から投与を開始するものの、管理目標までの十分な降圧が達成できない場合はしばしば見られ、単剤で十分な降圧が得られたのは6-15%だったという論文もあります。

単剤でコントロールが得られない場合は、1剤追加し、それでも十分でなコントロールが得られない場合には、さらにもう1剤を併用します。

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1種類の薬剤を増量していくよりも複数の薬剤を組み合わせる方が強い降圧効果が得られることは知られており、これらの薬剤を組み合わせ、2剤を1剤とした配合剤も存在します。

配合剤に関しては現状では、

  • ①ARBと利尿薬
  • ②ARBとカルシウム拮抗薬

の組み合わせのが使用可能で広く使用されています。薬価も1剤ずつ使用した場合より抑えられ、むしろよりきちんと内服できることから降圧目標達成率も高まることが示されています。

さらに組み合わせによっては腎臓病や心臓病の予防になることも報告されており、併用療法には大きなメリットがあります。

高血圧治療ガイドライン2014では、2剤の併用として3つの組み合わせがすすめられています。

  • ①ARBあるいはACE阻害薬+Ca拮抗薬
  • ②ARBあるいはACE阻害薬+利尿薬
  • ③Ca拮抗薬+利尿薬

ARBとACE阻害薬は作用機序が類似した“兄弟”のような薬剤で一般的には併用して使用しません。

個人的には利尿薬はトイレが近くなり、生活に負担をかけてしまうことがある、高齢の方は夏場や風邪をひいて水分が取れなかったときなどに脱水を起こして調子を悪くしてしまうリスクもあることから使用する患者さんをより慎重に選ぶようにしています。

 
薬を飲むときに注意する必要があること

いくつかあるので順に説明していきたいと思います。

 
1. 毎日決まった量のお薬を飲みましょう

最も重要なことは「降圧薬を毎日飲み続けること」です。
医師は、患者さんが家庭で測定した家庭血圧の値の推移に基づいて、降圧薬の量や種類の変更が必要かどうかを判断しています。

したがって、患者さんが毎日きちんと飲んでしていないと、その降圧薬が患者さんに合っているのかどうかを正しく評価することができないのです。このため、まずは処方された降圧薬を正しく飲み続けることが大切です。

中には本当は飲んでいないのにそのことを伝えることに抵抗を感じ「飲んでいる」と言ってしまう方もいらっしゃいます。なかなか降圧目標が達成できず、悶々としていると、あとになって、自宅に大量に薬が余っているからいらないなどと家族から伝えられたりして、「やっぱり」となることも時々経験します。

 
2. 薬を飲み忘れてしまった時は…

降圧薬は、本来、毎日同じ時間帯に服用したほうがよいのですが、忙しくてついうっかり飲み忘れてしまうこともあります。もし1日1回服用の薬を飲み忘れてしまった場合には、原則飲み忘れに気付いた時点で飲んでいただければいいと思います。

ただし、利尿薬に関しては夕方や寝る前に飲んでしまうと夜間トイレが頻回になってしまうこともあるので避けた方が良いかもしれません。

 
3. 薬は必ず水で飲まないといけない?

基本的には降圧薬は水かぬるま湯で飲むことが望ましいのですが、もし手元にお茶やコーヒーしかないのであれば、(薬との相互作用を確認して問題なければ)その時はそれらで飲んでしまってもいいかと思います(あくまで臨時の対応として、です)。

「水がなかったから薬を飲めなかった」よりは、「降圧薬をきちんと飲み続けること」を優先する方が重要だからです。ただし、薬によっては対応も変わりますので、診察の際に主治医に相談するのがいいでしょう。

 
4. グレープフルーツがダメってほんとう?

カルシウム拮抗薬の一部は肝臓にある酵素で分解されます。グレープフルーツに含まれる物質には、この酵素を邪魔する働きがあるため、同時に飲むと薬の分解が遅くなり、必要以上に強い効果が出てしまう可能性があるのです。

グレープフルーツジュースと薬の相互作用は、同時に飲んだ場合だけとは限りません。個人差がありますが、グレープフルーツジュースによる影響は十数時間持続することが確認されています。そのため、薬を飲む前にはグレープフルーツジュースを飲まないように気を付ける必要があります。

ちなみに、柑橘類でもみかんやオレンジには代謝を阻害する物質が含まれていないので、薬の服用前後に食べても問題ありません。

 
5. ふらつきやめまいが出る場合は相談を

降圧薬の効果が強く出てしまったことで血圧が低くなりすぎて “立ちくらみ”のような症状が出ることがあります。特に、高齢の患者さんで現れる頻度が高い傾向にあり、ふらつきから転倒してしまうようなこともあるため注意が必要です。

自律神経の障害も関与しており、必ずしも薬の副作用で認める場合ばかりではありませんが、頻繁に立ちくらみを感じるようなときには、主治医に相談するとよいでしょう。

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