最近外来で「なんか今年はインフルエンザ早めに流行っているみたいですね」
「このへんでもけっこうでているんですか?」
といった質問を受けることが多くなっています。
たしかに国立感染症研究所が「インフルエンザが全国的な流行期に入った」と、先日発表しており、これを受けて各種報道がなされています。
流行期に入るのは、例年より数週間から1か月ほど早く、統計を取り始めて以降、2番目に早くなっています。
インフルエンザは1つの医療機関から報告されたインフルエンザの患者数の平均が1日に1人以上になることを「流行」と定義しています。
国立感染症研究所によると、今月10日までの1週間に全国およそ5000の医療機関(小児科約3000、内科約2000)から報告されたインフルエンザの患者数は、5084人で、1医療機関当たりの患者数は1.03で、流行開始の目安とされる「1」を超え、国立感染症研究所は15日、全国的な流行期に入ったと発表しました。たしかに例年と比較し早いことがわかります。
これはインフルエンザの全国での流行状況をまとめたマップになります。オレンジ色、濃いオレンジ色が「流行」の基準となり1人を超えている都道府県となりますが群馬県は0.5人未満で現時点では「流行」となっていないことがわかります。
実際の都道府県ごとの患者数を並べてみると、関東地方では東京都、神奈川県、茨城県で1.1とわずかに1を超え、「流行」の基準はみましているものの、爆発的な流行に至っているわけではなく、九州地方、特に沖縄県での患者数が多いことがわかります。
インフルエンザの予防で重要なのは
になります。
手洗いがだいじなことは知ってはいるものの、めんどうでおろそかになってしまいがちな方も少なくないでしょう。
また、指の間や手の甲、手首などは洗っているつもりでもきちんと洗えていないことも多いです。
感染予防の中でも手洗いは特に重要視されており、大学病院にいた頃は数ヶ月に1回正しく手洗いができているかどうかのチェックが義務付けられていました。
手にブラックライトをあてると光る透明の塗料をつけた後にいつもどおり手洗いをして、きちんと塗料がおちているか確認する、というものなのですが、しっかりやったつもりでも意外と洗い残しがあることに気付かされたものです。
インフルエンザワクチンの予防接種は、感染後に発症する可能性をへらす効果と、発症した場合に重症化するのを防いでくれます。
通常成人では1回の接種で2週後から血中の抗体の量が増え始め、4週でピークに達し、3-5カ月後から低下します。
流行のピークは例年1月末から3月上旬ですので、12月中旬までにワクチンを打つのがよいでしょう。
経鼻ワクチンの試作容器
余談になりますが、現在注射ではなく細いスプレー容器に入ったワクチンを鼻に差し込んで噴射する経鼻タイプのワクチンが開発中で、人に予防接種して安全性と有効性を調べる治験が今年7月に終わっています。もしかしたら数年後には使用できるようになるかもしれません。
インフルエンザは鼻やのどからウイルスが入り感染します。空気が乾燥すると、のどの粘膜の防御機能が低下します。乾燥しやすい室内では加湿器などを使って、適切な湿度(50%~60%)を保つことも効果的です。
インフルエンザが流行してきたら、なるべく、人混みや繁華街への外出を控えましょう。特に疲れ気味や寝不足のときは免疫力が低下しており、いつもより感染しやすくなりますので注意が必要です。
© 2019 Inui pediatrics and internal medicine clinic