「ジェネリック医薬品」という言葉はテレビCMや薬局の窓口などで耳にしたことはあると思いますが、どういうものか、いまひとつよくわかっていない方も少なくないのではないでしょうか。
今回はジェネリック医薬品と、オーソライズド・ジェネリックについてお話ししていきたいと思います。
新薬よりも価格が安いことが特徴ですが、これは「薬の訳あり品」や「在庫処分のバーゲン品」を販売している訳ではなく、新薬と違って開発にかかるコストが抑えられるためです。
ジェネリック医薬品とは、新薬(先発医薬品)の特許が切れたあとに販売される、新薬と同じ有効成分のお薬のことです。
新薬の特許は開発から原則20年、最大25年認められており、他の会社は同じ成分の薬を作ることができません。ただし、製造販売承認後、原則6年間(最大10年間)の再審査期間を過ぎるとジェネリック医薬品の申請が可能になります。
ただし、薬の製造方法や添加物、形状や色などは先発品とジェネリック医薬品で異なることがあります。
高騰が続く医療費の抑制のために国策としてジェネリック医薬品の普及を進めており、厚生労働省は2020年9月までに、普及率を80%にすることを目標にしています(2018年9月の調査では72.6%)。
ちなみにジェネリック医薬品の普及率向上を閣議決定した2007年は18.7%だったようですから、10年強で4倍近いシェアになったことになります。
オーソライズド・ジェネリックとは、先発医薬品メーカーが認定し、先発医薬品と全く同じ成分なだけでなく、原薬・添加物・製造方法などの全てにおいても先発医薬品と同様であるジェネリック医薬品のことをいいます。
一般的なジェネリック医薬品と同様に、開発費や販売費があまりかからないぶん、 新薬より安く、お薬代の負担が軽減されます。
先ほどお話ししたように、医療費抑制を背景に国策としてジェネリック医薬品を普及させたことで、新薬を開発した製薬企業は、一定期間が過ぎてジェネリック医薬品が登場するとその新薬のシェアを大きく失うことになります。
自社製品のシェアを他社に奪われてしまうくらいであれば、自ら先発品の売り上げを減らしてしまうリスクはあるものの、後発品メーカーに特許権を許諾し、“公式版ジェネリック”としてオーソライズド・ジェネリック(AG)を出すことで、特許使用料として利益を得る判断を選んだわけです。
AGは先発品メーカーの子会社であったり、何かしらの業務関係がある会社が製造していることも多く、また一般的なジェネリック医薬品よりも180日先行して販売できるため、市場シェアを取りやすいという特徴もあるようです。
すべてのジェネリック医薬品にオーソライズド・ジェネリックがあるわけではありませんが、ジェネリック医薬品を希望する場合に安心して受け入れることのできる選択肢になるのではないでしょうか。
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