心臓が大きいってどういう意味?心肥大や心拡大の原因と治療法|高崎市 乾小児科内科医院|アレルギー科・循環器内科(心臓血管内科)

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心臓が大きいってどういう意味?心肥大や心拡大の原因と治療法

2021.03.26

 
 

外来で「健診で心臓が大きいと言われたことがある」ものの、その意味がいまひとつわからない、というお話を聞くことがあります。

そもそも心臓って大きくなったり、小さくなったりするものなのでしょうか?

あるとしたら、それって何かマズい病気??

今回は心肥大や心拡大の原因と治療法について、まとめていきたいと思います。

 

心肥大と心拡大の違い

「以前、心臓が大きいといわれたことがある」「これって心肥大ですか」と聞かれることはありますが、「心拡大ですか?」と聞かれることはまずありません。

心肥大という言葉は耳にしたことがあっても、心拡大という言葉にはなじみが薄いからかもしれません。

心肥大は心臓、特に心室の壁の厚みが何かの原因で厚くなったことを指します。心臓が大きいときには心拡大と表現します。健診で指摘を受ける場合は、通常レントゲンでの心臓のシルエットが基準よりも大きかった場合に「心臓が大きい」という指摘になります。

つまり、通常の健診で指摘できる「心臓が大きい」は「心肥大ではなく心拡大」なのです。

拡大はあくまでも全体の大きさですから、大きくて壁が厚い場合は心拡大および心肥大の状態であると言えます。

 

心臓は血液を送り出すポンプ

心肥大や心拡大の説明を詳しくしていく前に、そもそも心臓がどんな働きをしているかおさらいしていきましょう。

心臓は全身に血液を送り出すポンプの働きをしています。血液は体重の約13分の1の重さといわれ、体重60kgの人で約4.5リットルあります。心臓は1日約10万回も拍動して、この血液を体中に送っています。

心臓はポンプ、といいましたが、実際にはゴム風船のように血液を心臓にため込んで膨らみ、膨らんだ心臓が縮もうとする力を使って血液を送り出しています。

ただし、心臓はゴムではなく伸び縮みできる筋肉でできています。

 

心臓に負荷がかかり続けると…

心臓は筋肉でできているので、負荷がかかる状態が続くとマッチョになります。例えば、厳しいトレーニングを行なっているスポーツ選手は、運動時に激しく全身へ血液を送り出すために心臓も鍛えられ、マッチョになります。これを「スポーツ心臓」といいます。

そのほか、心臓の出口が狭くなっている(大動脈弁狭窄症)や心臓を出た後の圧が高すぎる(高血圧症)と心臓に負荷がかかり、心臓が分厚くなります。

これが心肥大です。

マッチョになることは一見いいことのように思えますが、バネやゴムは、力を得ようとして無理にひっぱったり、引っ張り続けたりしていると段々と伸びてしまうように、心臓の筋肉も伸びてしまいます。

ゴム風船のゴムが伸びると風船は大きくなります。心臓も同じように心臓の筋肉が伸びると心臓が大きくなってしまうのです。

つまり、肥大した後も負荷がかかり続けるといずれ、心臓が弱ってきてしまい、心不全を起こしてしまうのです。

また、肥大した心筋は通常の心臓よりも不整脈を起こしやすいという特徴もあります。

 

心拡大の原因

心臓に血液が通常よりも多くある状態にあると心臓というゴム風船は膨らんだ状態になります。これが心拡大です。

では、心臓がサイズとして大きくなってしまう「心拡大」の原因にはどのようなものがあるでしょうか。

一つは弁膜症(僧帽弁閉鎖不全症など)です。弁膜症によって心臓の部屋を区切る弁に逆流がある場合、心臓はせっかく前に押し出したはずの血液が戻ってきてしまうので、再度押し出す必要があります。

すると、もともと押し出す予定の血液に加えて、戻ってきた血液も押し出す必要があるため、心臓には通常よりも多くの血液がある状態となり、「心臓が膨らんだ」状態になります。

そのほか心臓の部屋と部屋を区切る壁がつながっておらず心臓のどこかに生まれつき穴が開いている「シャント性先天性心疾患」という病気もあります。

弁の逆流同様、一度通過した血液が、その穴を通って再度上流の部屋に注ぎこむため、相対的に循環する血液の量が多くなります。

また、種々の要因から心臓がポンプとして十分に機能できない、心不全の状態になると、心臓内の血液が十分に押し出されなくなってしまい、心臓に血液が過剰にある状態となります。

 

心肥大や心拡大の評価

心拡大はレントゲンがきっかけで疑がわれることが多いですが、原因はレントゲンではわかりません。また、心肥大は心臓が分厚くなっても大きさは変わらないこともあるため、レントゲンではわかりません。

どちらの評価にも、心臓自体を画像で評価できる心エコー検査が効果的です。心エコーでは、弁膜症の有無や程度、心機能、心筋の厚さなどが評価可能です。

また、その他の検査としては、心臓MRI検査や24時間心電図検査などを行うこともあります。

心臓が大きいと言われた場合、いろいろな病気が隠れている可能性があります。

症状がないから精密検査は必要ないと考えずに、自覚症状がない時点でもすでに心臓の障害が起きている場合もありますので、検査の異常が出た段階で心臓血管内科の専門医による精密検査を行ってみてはいかがでしょうか。

 

© Inui pediatrics and internal medicine clinic

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