内科医のできるまで(医大生編)|高崎市 乾小児科内科医院|アレルギー科・循環器内科(心臓血管内科)

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内科医のできるまで(医大生編)

2020.02.06

内科医のできるまで(医大生編)

 
 

非医療系の友人と話をしていると、医師のキャリアに関して世間の理解はあいまいな部分が多い、と感じることはしばしばです。

失敗しない外科医の話や頻繁にドクターヘリが出動する救急救命医の話はわかりやすいですが、医学生が大学を卒業後、研修医を経て、内科医になっていく話はわかりやすいとはいえないかもしれません。

今回は内科医の一般的な進路についてお話ししてみたいと思います。
書き出してみたら少し長くなってしまったので、まずは医学部入学から国家試験合格までをまとめてみました。

Step 1. 医学部入学まで

内科医のできるまで(医大生編)

2020年2月現在、全国の医学部の数は、国公立や私立そして文部科学省の管轄外となっている防衛医科大学校を含め全国で82校です。

具体的な内訳としては、国立大学が42校、公立大学が8校、私立大学が31校、そして防衛医科大学校の1校となっています。

文部科学省が公表している「各大学の医学部医学科の入学状況及び国家試験結果等」によれば2019年度の医学部医学科入学状況によれば(以下のデータは防衛医科大学校を除く81校に関してのものになります)

定員9,181名に対して、志願者数137,610名(受験者数119,358名)、合格者数14,503名、実質競争率(受験者数÷合格者数)8.23でした。

ちなみに定員よりも合格者数が多いのは併願が多いためで、通常、合格枠にも正規合格(入学が保証されている)と補欠合格(欠員が出たら入学できる)があります。

 

Step 2. 教養課程→基礎医学

内科医のできるまで(医大生編)

一般に知られるように医学部は6年制です。6年間のカリキュラムをおおまかにわけると

教養課程→基礎医学→臨床医学(座学)→臨床医学(病院実習)

となり、数字の大きくなる順に学んでいきます。

 
教養課程

教養課程で学ぶことは、英語、第二外国語(フランス語、スペイン語、ドイツ語など)、統計学、スポーツ科学、医療心理学、物理学、生物学などです。

「医学部入ったからバリバリ医学を学ぶぞー」と入学したものの、正直高校とあまり変わりばえのしない授業に面食らった記憶があります(群馬から東京に上京したばかりの18歳には学校以外での刺激は山ほどありましたが)。

1学年100人強(私が入学した頃は全国平均1校100人程度でいまより少し少なかった)しかいませんので、一般の学部のように知らない人がたくさん、といったことはまずなく、また多くの生徒は部活動に属します。

もちろん医学部の部活動に参加せず、全学部が参加するサークルに参加するものもいれば、掛け持ちするもの、バイトに明け暮れるもの、帰宅部のものなど様々です。

 
基礎医学

大学によって始まるタイミングがまちまちではありますが、1年生の終盤から2年生にかけて基礎医学が始まります。

基礎医学とは解剖学、生理学、生化学、病理学、微生物学、免疫学、公衆衛生学、法医学、薬理学などがあります。

ここから一般の学部では学ばない、いわゆる「医学部っぽい授業」が始まっていきます。

 

Step 3. 臨床医学(座学)

内科医のできるまで(医大生編)

3−4年生ではさらに専門的な科目別の授業になっていきます。
循環器(心臓)、消化器、呼吸器、神経、腎臓など臓器別に授業があります。

講師を務めるのは多くが大学病院で実際に診療を行っている先生で、緊急の治療が入って授業が変更になったり、大きな学会が入ってしまい代行の先生が来たりすることもあったります。

大学にもよるでしょうし、時代によってもカリキュラムが変わるのでいまがどうかわかりませんが、私自身の臨床医学時代は毎週月曜日に試験があったので(落ちると年度末に再試験=春休みが減る、があり合格できないと留年)、土日にクラブ活動(バスケットボールをやっていました)の練習や試合、終わったら学校に行って試験勉強、といった生活でした。

月曜日に試験が終わってもまた翌週には次の試験があり、常に試験に追われることになるわけですが、毎日コツコツと勉強する生徒を脇目にキリギリスの如く遊び呆け、週末1夜漬けで試験を切り抜ける生徒など、やり方は十人十色といった感じでした。

余談ですが、運動部には夏休み(ウィンタースポーツは冬に開始)に東日本、西日本のほとんどの医学部が参加する東日本医科学生総合体育大会(東医体)、西日本医科学生総合体育大会(西医体)というイベントがあり、本気で優勝目指して火花を散らしています。

 

Step 4. 臨床医学(実習)

内科医のできるまで(医大生編)

   

臨床実習(病院での実習)の前には2つの試験があります。
この試験は共用試験と呼ばれ、全国の医学部、歯学部の学生が臨床実習を開始する前に受けるものでこれに合格しないと病院実習にすすめません。

試験は
①知識・問題解決能力を評価するCBT(Computer Based Testing)というパソコンで行う試験と
②態度・診察技能を評価するOSCE(Objective Structured Clinical Examination):オスキーという実技試験があります。

OSCEは、模擬患者さんへの医療面接(外来での診察の問診)、手術着の着方、医療用手袋の付け方、縫合、全身の診察のやり方など様々です。
サンプル課題がインターネットで公開されていましたので興味がある方はこちらをご覧ください。

現在、厚生労働省で議論中ですが、今後、共用試験合格者を「Student Doctor」として法的に位置付けていく方向のようです。

さて、前置きが長くなってしまいましたが、共用試験に合格すると病院実習が始まります。

白衣を身にまとい、病棟を歩くと気分は「プチ研修医」。ずいぶんと気分が高揚としたのを覚えています。

指導医の監督のもと、患者さんに診察をさせてもらったり、病状を伺ったり、手術や診察の様子を見学したり、といったところなのですが、この実習中に出会った患者さんや指導医がきっかけで将来の専門を決めることもあります。

このあたりが他の学部と大きく異なるところだと思うのですが、医学部は卒業後ほとんどの学生は、医師となり、人によっては実習した大学病院でそのまま研修医として仕事をしたりします。

病院実習は医師になるための医学的知識を深めるトレーニングであるのはもちろんのこと、医療現場の実際を見学し、将来の専門科や自分のキャリアプランについて考える場でもあるのです。

 

Step 5-1. 病棟実習後(卒業試験編)

内科医のできるまで(医大生編)

6年生の夏前までに病棟実習が終わる大学が大半でそこからは卒業試験、国家試験に向けての試験勉強(自主勉強)が続きます。
特に授業はありませんが、大学によっては成績不良者に向けての補修授業や国家試験対策の予備校(ビデオ授業など)の受講を義務付けるところもあります。

医師免許を得るためには医師国家試験(現在は年1回2月上旬にあります。1984年までは年2回行われていました)に合格する必要がありますが、国家試験に受験するためには卒業試験に合格しなくてはいけません。

ここに至るまでも多くの試験がありましたが、医師国家試験合格率は公表され、各大学の客観的評価のひとつとなっているため、国家試験に合格確率が低いとみなされた学生は卒業ができません。

卒業試験に合格できないと国家試験を受験できないので翌年もう1度卒業試験に臨み、合格する必要があります(これを卒試留年といいます)。

ちなみに他の学部のように一般的には卒業論文を書いたりすることはありません(一部の向上心の高い学生が在学中に研究室や医局の先生の指導の下、論文を作成したり、学会発表したりすることはあります)。

脱線が多すぎて本線見失いそうですが、海外の医学校を卒業し、医師免許を取得した場合には、日本での病院実習の編入試験に合格し、一定期間の病院実習を行った上で、日本の医師国家試験受験資格を得ることができます。

私が以前在籍していた大学病院にも日本人で中国の医学部を卒業後、日本の医師免許をとるために病院実習をしていた生徒もいました。

 

Step 5-2. 病棟実習後(医師国家試験編)

内科医のできるまで(医大生編)

話を国家試験に戻します。
私が受験した2006年は3日間でしたが、確認したところ2018年から試験日程が2日間になっているようです。

出題数はA-Fブロックに分かれた計400題の選択問題(マークシート)で80%以上正解しないと不合格となる必修問題や4問以上選択すると即不合格となる禁忌肢なども含まれています。

2020年の医師国家試験はまさに今週末行われる予定となっていますが、2019年の合格率は89.0%、ここ20年は概ね90%前後の合格率で推移しています。

ちなみに多くの試験がある中で徐々に同期入学生は減っていきます。入学から卒業まで留年することなくストレートで卒業した人数を厚生労働省が公開していますが、

直近のストレート卒業率=最低修業年限(6年)での卒業者数/2013年入学者数は、全医学部平均で84.9%(最低64.5%-最高100%)でした。

 

Step 6. 病棟実習後(就職活動編)

内科医のできるまで(医大生編)

Step4,5でお話ししたような実習や試験をこなす傍ら、卒業後の就職先を探す活動も行います。

医師免許は取得後すぐに医師としての仕事に従事しない以外の大半の人は、2年間「研修医」としてトレーニングを積みます。

内科医のできるまで(医大生編)

自分の進路にあわせて、どんな研修をどこで行いたいか検討し、春休みや夏休みなどを利用して職場(病院)見学や多数の研修病院が集まって開かれる合同説明会に参加した後、願書を提出し、筆記、面接、小論文などの試験を受けます。

結果は6年生の秋頃に発表となります。

私の時はたしか第5希望ぐらいまで記入する欄があった記憶があります。仮に希望するところに研修(就職)が決まらなかった場合は、2次募集、3次募集とあります。

なお、マッチング結果をみますと、募集定員数11,109人に対し、マッチ者数9,042人=就職倍率 0.81倍ですので、2019年の研修システムに定評があり、人気の病院を除けば、基本的にはいく先がない、といったことにはなりません。

研修先が決まり、国家試験に合格できれば4月から入職となり、医師としての生活が始まります。病院によっては3月末から研修があるところもあります。

 

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