出荷調整・停止となっていたオゼンピックが新規格で発売再開!いままでとの違いは?|高崎市 乾小児科内科医院|アレルギー科・循環器内科(心臓血管内科)

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出荷調整・停止となっていたオゼンピックが新規格で発売再開!いままでとの違いは?

2022.06.06

製造工程に関して、日本の厚生労働省にあたるアメリカ食品医薬品局(Food and Drug Administration: FDA)からの指摘を受け、 2022年3月頃より出荷調整・停止となっていたオゼンピック(セマグルチド)ですが、新たな規格となって5月25日から発売されました。

今回は新たな規格の特徴、いままでとの違いをオゼンピック自体の特徴のおさらいも含めてみていきたいと思います。

 

オゼンピックは週1回投与のGLP-1受容体作動薬

オゼンピックは日本では2020年6月29日に発売となった週1回投与のGLP-1受容体作動薬(注射薬)です。

詳しくは以前、ブログにまとめていますので興味ある方はご参照下さい。

GLP-1はグルカゴン様ペプチド-1(glucagon-like peptide-1)の略で、インスリンの分泌を促進させるホルモンです。

GLP-1は食事をとると腸管から分泌され、

  • ・インスリン分泌を促進(血糖値が高いほど強く作用)
  • ・グルカゴン分泌抑制(血糖値が高い場合、血糖値をあげるホルモンであるグルカゴンの分泌を抑制)
  • ・胃排泄遅延
  • ・食欲抑制

といった働きで血糖調節を行なっています。

低血糖のリスクが低いことと、胃排泄遅延・食欲抑制効果から体重低下効果があることからも注目されている薬剤です。

 

体重減少効果は現行治療薬で最強クラス

2型糖尿病患者さんを対象として行われたオゼンピック(セマグルチド)の臨床試験である「SUSTAIN1?5試験*1-5」において、オゼンピック1.0㎎投与で、体重減少効果は平均5~6㎏となっています。
(SUSTAIN1、4、5は30週、2、3は56週の投与期間)

これを踏まえると、もとの体重が平均90kg程度の方が対象になっていますが、糖尿病患者さんにオゼンピック1mgを半年から1年程度使用すると平均で5-6kgやせる可能性があるということになります。

ちなみに日本での最大用量は1.0mgとなっていますが、研究レベルでは日本人と韓国人437人を対象にオゼンピック2.4mg、1.7mg、プラセボ(偽薬)で体重減少効果を比較し、68週後に評価した論文が2ヶ月前に発表*6になっています。

その結果、オゼンピック 2.4mg投与群で13.2%、1.7mg投与群で9.6%と欧米人を中心とした過去の検討よりも劣るものの、かなり強い体重減少効果がみられました。

体重100kgの人であれば、オゼンピック2.4mgの投与で、1年強で87kgになるという話ですから、相当な効果と言えるのがわかるでしょう。

これらの投与量はあくまで臨床研究での話であり、日本での最大用量は1mgですので注意が必要です。

 

従来規格と新規格で何が変わった

今回規格が新しくなって再販売、ということになりましたが、何が変わったのでしょうか。

外観 使用回数 用量
新規格 複数回 調節可能 外付け
従来規格 単回 単一用量 内蔵(29G)

最大の違いは使用回数です。従来規格は0.25mg注、0.5mg注、1.0mg注とそれぞれ全量を単回で使い切るタイプの注射剤でした。

新規格は1本にオゼンピック2mg分が入っており、たとえば1回0.5mg注射している方の場合、1本で4回分、ということになります。

ノボ ノルディスク社HPより

ダイアルを回して指示された量にダイアルを回して、表示を設定してから注射をします。

針は他のインスリン製剤のように外付けになるので32Gや34Gといった、いままで(29G)よりも細い針が使用可能です。

針が細い方が痛くないですね

 

海外の規格と統一化された

今回の新規格は海外で使用されているものと同じ規格になります。もともと、ノボ社はこの規格で日本でも販売開始を検討していましたが、なかなか販売承認が取れず、日本独自の規格を採用し販売開始していました。

しかし、今回の販売休止を経て、改めて海外と同一規格での販売が承認され、新規格で販売再開となりました。

いままで使っていた薬が販売休止となり、他剤への切り替えを余儀なくされていた患者さんや体重減少効果を期待する患者さんには有用な治療の選択肢となるでしょう。

 

*1 Sorli C, et al. Efficacy and safety of once-weekly semaglutide monotherapy versus placebo in patients with type 2 diabetes (SUSTAIN 1): a double-blind, randomised, placebo-controlled, parallel-group, multinational, multicentre phase 3a trial. Lancet Diabetes Endocrinol. 2017 Apr;5(4):251-260.

*2 Ahren B, et al. Efficacy and safety of once-weekly semaglutide versus once-daily sitagliptin as an add-on to metformin, thiazolidinediones, or both, in patients with type 2 diabetes (SUSTAIN 2): a 56-week, double-blind, phase 3a, randomised trial. Lancet Diabetes Endocrinol. 2017 May;5(5):341-354.

*3 Ahmann A, et al. Efficacy and Safety of Once-Weekly Semaglutide Versus Exenatide ER in Subjects With Type 2 Diabetes (SUSTAIN 3): A 56-Week, Open-Label, Randomized Clinical Trial. Diabetes Care. 2018 Feb;41(2):258-266.

*4 Aroda V, et al. Efficacy and safety of once-weekly semaglutide versus once-daily insulin glargine as add-on to metformin (with or without sulfonylureas) in insulin-naive patients with type 2 diabetes (SUSTAIN 4): a randomised, open-label, parallel-group, multicentre, multinational, phase 3a trial. Lancet Diabetes Endocrinol. 2017 May;5(5):355-366.

*5 Rodbard H, et al. Semaglutide Added to Basal Insulin in Type 2 Diabetes (SUSTAIN 5): A Randomized, Controlled Trial. J Clin Endocrinol Metab. 2018 Jun 1;103(6):2291-2301.

*6 Kadowaki T, et al. Semaglutide once a week in adults with overweight or obesity, with or without type 2 diabetes in an east Asian population (STEP 6): a randomised, double-blind, double-dummy, placebo-controlled, phase 3a trial. Lancet Diabetes Endocrinol. 2022 Mar;10(3):193-206.

 

c Inui pediatrics and internal medicine clinic

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