【専門医が解説】糖尿病の運動療法|高崎市 乾小児科内科医院|アレルギー科・循環器内科(心臓血管内科)

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【専門医が解説】糖尿病の運動療法

2020.10.16

【専門医が解説】糖尿病の運動療法

 
 

糖尿病のお薬以外の治療法として、食事療法と運動療法があります。食事療法もそうなのですが、「やった方がいいのはわかってはいるけどなかなかできない、続けられない」という方も少なくないはず。

あまり気を張りすぎず、気軽に始めてみることが重要と思いますが、何をどうしたらよいかわからない、という方の参考になればと運動療法についと思います。

 

運動…していますか?

近代化に伴い、日常生活が便利になった反面、我々の運動量は徐々に低下しています。

ある研究によれば、旧石器時代の人々の歩行量は、1日あたり男性13200歩-21120歩、女性10560歩程度でした。

それに比べ、現在の日本人は、1日あたり男性 6794 歩、女性 5942歩(平成30年国民健康・栄養調査結果の概要:厚生労働省)と半分近くに低下しています。

さらに、同調査によれば、成人で運動習慣がある人の割合は、男性で31.8%、女性で25.5% と決して高い数字ではありません。

【専門医が解説】糖尿病の運動療法

 

糖尿病における運動療法の効果

糖尿病における運動療法としては、有酸素運動が基本となります。

有酸素運動により筋肉への血流が増えると、ブドウ糖が細胞の中に取り込まれ、インスリンの効果が高まり、血糖値は低下します。

また、筋力トレーニングによって筋肉が増えることでも、インスリンの効果が高まり、血糖値は下がりやすくなります(これをインスリン抵抗性の改善といいます)。

 

どの程度が適切な運動か?

運動をした方がよいことは、なんとなくわかりますが、どの程度が適切な運動量で、どんな内容の運動が推奨されているのでしょうか?

 

適切な運動強度はどの程度?

運動の強度は、持病の具合や体力にあわせて選択することが重要です。どんな運動をどの程度やるのがよいのかは、主治医の先生と相談しながら検ょう。

自覚的に「きつい」と感じるときは、負荷がかかりすぎている可能性があります。「そんなにつらくない〜ちょっときついかな」といった程度の負荷で十分です。

また太極拳やヨガなどのゆっくりした動きをベースにした運動でも、正しく行うと、安全かつ効果的な運動療法になると報告されています。

 

有酸素運動

有酸素運動とは、筋肉を収縮させる際のエネルギーに、酸素を使う運動のことをいいます。ジョギングや水泳、エアロビクス、サイクリングといっ間をかけながら、少量から中程度の負荷をかけて行う運動が代表的です。

思い立った時にいつでもでき、安全、という理由からウォーキングが最もおすすめです。

通勤や通学、買い物などを少し遠回りして早歩きをするのも効果的です。

1回あたりの時間は20−60分程度続けるとよいとされています。ただし、20分未満でも1日に何回か運動して、合計で超えても大丈夫です。

これを週3日以上、できれば、週5日以上行います。

なかなか高頻度の運動が推奨されているのは、有酸素運動の効果(インスリン感受性の改善など)は、一時的で、効果が72時間ほどで消失しまうからです。

そのため、2日以上の間隔をあけると、運動療法の効果が下がってしまいます。

 

無酸素運動

無酸素運動は、筋肉に貯めてある糖質をエネルギー源にする運動で、短距離走や筋力トレーニングなど、筋肉に対して高い負荷を短時間に集中的にかけて行います。

瞬発的にかける負荷が大きい分、消費エネルギーも多い無酸素運動のほうが、有酸素運動よりも息が上がりやすいという特徴があります。

無酸素運動には、短距離走や腹筋、腕立て伏せ、スクワットなどの筋力トレーニングやウエイトリフティングなどがあります。

運動療法を行う場合には、有酸素運動と無酸素運動のどちらかだけを行うよりも、両方を組み合わせて行った方がより効果的です。

 

運動する前に気をつけること

運動に注意が必要な方

特に以下に当てはまる方は、運動前に主治医の先生と相談する必要があります。

  • 1. 糖尿病の網膜症(前増殖性・増殖性・レーザー光凝固後など不安定な人)がある方
  • 2. 重度の神経障害がある方(足の感覚麻痺など)がある方
  • 3. 血糖コントロールの極度に悪い方(1型糖尿病で空腹時の血糖値 250mg/dl以上、ケトン体陽性の方など)
  • 4. 心筋梗塞などの重篤な血管障害のある方
  • 5. 感染症などで体調が悪い人
  • 6. 糖尿病性腎症のある方

 

低血糖に注意しましょう

インスリンやSU薬を用いている人は低血糖に注意が必要です。運動をする時は低血糖の症状に注意し、ブドウ糖や軽食、ジュースなどを準備しておきましょう。

運動量の多い場合には、低血糖の危険があるので、必要に応じて補食をとる、あるいは、運動前後のインスリン量を減らすなどの注意が必要です。

 

© 2020 Inui pediatrics and internal medicine clinic

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